インフルエンザに感染すると高熱や倦怠感、頭痛などの症状が現れます。風邪よりも全身症状が重く、数日間はつらい思いをするかもしれません。
子どもは大人に比べて重症化しやすく、場合によっては肺炎や脳炎を引き起こす恐れもあります。インフルエンザに感染しないために、家族全員で予防を心がけましょう。
今回は、インフルエンザの主な症状・原因、治療法、予防法などについてまとめているので、ぜひチェックしてみてください。
もくじ
冬季に流行しやすいインフルエンザとは?
インフルエンザとは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる感染症です。基本的には風邪と似た症状が現れますが、より重症化しやすい点が特徴です。感染力が非常に高く、短期間で大規模な流行を引き起こすことがあります。
インフルエンザウイルスの型
インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型の3つの型に分けられます。冬に流行するといわれているのが、A型とB型の2つです。
A型はさらに144種類もの型に分けられ、毎年のように変異していることから例年「新型インフルエンザ」が発生します。新型インフルエンザウイルスが発生した場合、当然わたしたちはその抗体を持たないため、全国的に急速にまん延することがあるのです。
B型は2種類の型に分かれ、そこからさらに細かい型に分かれます。
C型は散発的に起こるので、A型やB型と違って季節的な流行は起こりません。
インフルエンザウイルスにはこのようにさまざまな型があるため、「1年に2回インフルエンザにかかる」という事態を引き起こすことがあるのです。
沖縄県のインフルエンザの感染状況
2024年12月2日〜12月8日の沖縄県の1医療機関あたりの感染者数は4.00人です。もっとも多いのが福岡県で20.30人、次いで大分県の13.41人となっています。
沖縄県は全国で44番目と他県に比べて感染者数は少ないものの、インフルエンザは感染しやすいため引き続き対策を行っていくことが大切です。
風邪とインフルエンザの違い
インフルエンザが流行している時期に風邪の症状が現れて、「これは風邪?インフルエンザ?」と悩んだことはありませんか?
とくに小さなお子さんの場合は、自分で症状をうまく伝えられないこともあるので、風邪なのかインフルエンザなのかの見極めが難しいものです。
普通の風邪は、くしゃみや咳、喉の痛み、鼻水などの局所的な症状が現れるのが一般的です。全身症状はあまりみられず、熱もそれほど高くないのが特徴となっています。
一方インフルエンザは、39℃以上の高熱と関節痛や筋肉痛などの全身症状が現れるのが特徴です。短期間で多くの人に感染しやすいため、「インフルエンザかも?」と思ったら外出せずに自宅で療養しましょう。
以下では、風邪とインフルエンザの違いを表形式でご紹介します。
風邪 | インフルエンザ | |
感染経路 | 飛沫感染 | 空気感染・飛沫感染 |
感染性 | あまり強くない | 非常に強い |
症状の現れ方 | 緩やか | 急激 |
発熱 | 37〜38℃ | 37〜40℃ |
症状 | 咳・鼻水・鼻詰まり・くしゃみ・喉の痛みなど局所的な症状 | 咳・鼻水・鼻詰まり・くしゃみ・喉の痛みなどの局所的な症状に加えて、筋肉痛や関節痛、倦怠感、頭痛などの全身症状を伴う |
合併症の有無 | とくになし | 熱性痙攣・肺炎・気管支炎などの合併症のリスクあり |
期間 | 長くて1週間程度 | 1〜2週間程度 |
インフルエンザの主な症状・原因
「ただの風邪だと思ったらインフルエンザだった」というケースは珍しくありません。インフルエンザに感染していることに気づかず通学・出勤すると、周りの人たちにうつしてしまう恐れがあります。早期に気づくためにインフルエンザの主な症状を知っておきましょう。
また、予防のためにインフルエンザの原因も知っておいてくださいね。
インフルエンザの症状
インフルエンザの主な症状には、高熱(38℃以上)、倦怠感、頭痛、筋肉痛、関節痛、咳、喉の痛み、鼻水などがあります。これらの症状は風邪と類似していますが、突然発症し、全身症状が重い点が異なります。とくに子どもや高齢者、基礎疾患を持つ人は重症化しやすく、肺炎や脳炎を引き起こす場合があります。
インフルエンザの原因
インフルエンザは飛沫感染や接触感染によって広がります。感染者が咳やくしゃみをする際に飛び散る飛沫を吸い込んだり、ウイルスが付着した物に触れた手で目や口を触ることで感染します。
人が密集する場所や閉鎖空間は感染リスクが高まるため、インフルエンザが流行する期間は人の多い場所を避けたり窓を開けて換気したりすることが大切です。
インフルエンザにかかった場合の治療法は?
インフルエンザにかかった場合の治療法は以下のとおりです。
一般療法
一般療法は、いわゆる自宅安静です。十分な睡眠をとり、身体をしっかり休めましょう。また、高熱による脱水症を防ぐため、こまめな水分補給が大切です。
高熱が続く、呼吸が苦しい、意識が朦朧としているなどの症状が見られた場合は、医療機関を受診してください。
薬物療法
インフルエンザの治療には抗ウイルス薬が用いられますが、インフルエンザウイルスは繁殖スピードが速いため、症状が出てから48時間以内に服用する必要があるといわれています。
抗ウイルス薬のほか、発熱や頭痛、筋肉痛などの症状を和らげるための薬が処方されることもあり、これらの薬は医師の診断のもと処方されます。必ず用法・用量を守って服用してください。
過去にインフルエンザの抗ウイルス薬服用後に異常行動を起こした事例があることから、「危険じゃないの?」と心配になる方もいるかもしれません。
薬の服用と異常行動の因果関係は不明とされており、薬を服用していなくても同様の異常行動が現れるといわれています。そのため、子どもがインフルエンザに感染した場合は、できる限り目を離さないようにすることが大切です。不安がある方は、かかりつけ医の医師に相談してくださいね。
参照:インフルエンザにかかったら|医療法人社団 医新会
インフルエンザQ&A|厚生労働省
押さえておこう!インフルエンザの予防法について
インフルエンザの感染リスクを低減させるためには、予防が大事です。流行する前に以下の対策を講じましょう。
ワクチン接種
インフルエンザワクチンの接種は、もっとも効果的な予防法です。ワクチンを接種することで感染を防ぐだけでなく、たとえ感染した場合でも症状を軽減する効果があります。とくに高齢者や基礎疾患を持つ方、妊婦、医療従事者などは早めに接種することが推奨されています。
ワクチンの接種回数は、13歳以上は原則として年に1回、生後6か月〜12歳は年に2回行います。多くの小児科では毎年10月ごろからインフルエンザのワクチン接種が始まるので、9月以降にワクチン接種のスケジュールを確認しておくとよいかもしれません。
日常の衛生管理
インフルエンザの予防には、日常生活での衛生管理が重要です。以下のポイントを意識しましょう。
手洗い | 外出先から帰ったら、石鹸を使ってしっかり手を洗う |
マスク着用 | 人が多い場所や感染リスクが高い環境ではマスクを着用する |
換気 | 部屋の空気を定期的に入れ替え、ウイルスが滞留しないようにする |
規則正しい生活 | 十分な睡眠やバランスの取れた食事で免疫力を高める |
コロナウイルスの予防と同様に、アルコール性の手指消毒剤を使うのも効果的です。
接触を避ける
インフルエンザにかからないためには、感染者との接触を避けることが重要です。そのため、インフルエンザが流行する時期はなるべく外出を控えましょう。
また、インフルエンザは1日~3日ほどの潜伏期間があり、症状が出るまで気づかないので家族内感染を防ぐために、タオルや食器などの共有を避けるなどの対策も有効です。
栄養バランスのよい食事・十分な睡眠を心がける
健康の基本は食事と睡眠からといっても過言ではありません。栄養バランスの偏った食事や睡眠不足が続くと、健康を維持しづらくなってしまいます。
インフルエンザが流行する時期だけでなく、日頃から栄養バランスの整った食事と十分な睡眠を心がけることで、体力や免疫力を高めることができるでしょう。
外出を控える・外出時はマスクを着用する
インフルエンザが流行している時期は、人混みへの外出は避けるようにしましょう。もし外出しなければならない場合は、マスクを着用して感染を防ぐことが大切です。
お子さんが学校へ行くときにはマスクを着用させるのはもちろん、念のため「交換用マスク」も持たせておきましょう。
また、咳などの風邪症状がある場合は無理をさせず、学校をおやすみさせるのも一案です。
適切な湿度を維持する
空気が乾燥していると、気道粘膜の防御機能が低下してインフルエンザにかかりやすくなります。適切な湿度は50〜60%といわれているため、加湿器などを使って室内の湿度を適切に保つようにしましょう。
ただし、加湿器を使用する際は、お子さんの手が届かないところに設置してください。
もし加湿器がなくても、洗濯物を室内に干すことで部屋の湿度を上げることができますよ。
子どものインフルエンザ いつから登校してよいの?
お子さんがインフルエンザにかかってしまった場合の疑問のひとつに、「いつから学校に行かせてもよいの?」というものがあります。
厚生労働省のガイドラインによると、インフルエンザによる出席停止期間は「発症したあと5日を経過し、かつ、解熱したあと2日(幼児は3日)を経過するまで」となっています。
つまり、インフルエンザの症状が出て5日目(発症から6日)の時点で熱が下がっていたとしても、熱がない日が2日(幼児は3日)なければ登園・登校はできないということです。
インフルエンザ発症から3日目で熱が下がった場合 | 6日目(幼児は7日目)から登園・登校可能 |
インフルエンザ発症から4日目で熱が下がった場合 | 7日目(幼児は8日目)から登園・登校可能 |
インフルエンザ発症から5日目で熱が下がった場合 | 8日目(幼児は9日目)から登園・登校可能 |
このとき注意したいのが、日数の数え方です。日数の数え方としては、発熱した日を0日目、翌日を1日目と数えるようなので間違えないようにしましょう。
日数の数え方が不安な場合は、那覇市が発表している「インフルエンザ出席停止期間早見表」をチェックするか、各学校へ問い合わせてみることをおすすめします!
インフルエンザに備えよう!準備すべきもの・やっておきたいこと
インフルエンザにかかったときの経験を踏まえて、「これは準備しておいたほうがいい!やっておいたほうがいい!」と思ったことをピックアップしてみたので、ぜひ参考にしてみてください。
スポーツドリンクや食料をストックしておく
インフルエンザにかかったら、とにかく水分補給が大切です! 万が一に備えて経口補水液やスポーツドリンクをストックしておき、いつでも水分補給ができるようにしておきましょう。
また、食欲がなくなるのでレトルトのお粥やインスタントのスープが重宝します。このとき、普通の食器を使うと洗い物が増えていく一方なので、使い捨てのフォークやスプーンなどがあると便利です。
このほか、熱冷まし用の冷却シートも必須です。
あんまーる編集部のスタッフは、娘と一緒にインフルエンザにかかり、それぞれ5日間ほど発熱していたため、1人1箱程度使ったとか……。おでこだけでなく、脇の下や首元、背中にも貼ることで少しだけ辛さが和らいだそうなので、お子さんが発熱したときはぜひお試しください。
もし療養中に必要なものが出てきた場合は、ネットスーパーを利用するのがおすすめです。ちなみに、沖縄県内では「りうぼう」「イオン」「サンエー」がネットスーパーに対応しています。
解熱剤を常備しておく
万が一に備えて、お子さんの解熱剤を常備している家庭は多いでしょう。では、ママ・パパの解熱剤は用意していますか?
もし親子でインフルエンザになってしまった場合、どれだけ辛くてもお子さんの看病はしなくてはいけません。お子さん用の解熱剤だけでなく、大人用の解熱剤も用意しておくのがおすすめです。
親子で一緒に受診できる病院を探す
インフルエンザにかかった場合、子どもは小児科を、大人は内科を受診するのが一般的です。そのため、親子で一緒にインフルエンザにかかった場合は別々の病院を受診しなければならないケースが多いでしょう。
辛い症状が続く中で病院をはしごするのは想像以上に大変です。無理することなく診察を受けられるよう、お子さんと一緒に受診できる病院を探しておくのがおすすめです。
もしくは、かかりつけの小児科に相談をして、ママ・パパも一緒に診てもらえるか確認しておくとよいかもしれません。
また、発熱時の移動はお子さんの身体に負担がかかるので、できるだけ近所でかかりつけ医を見つけておくことをおすすめします。
インフルエンザにかからないためにしっかり予防しよう
インフルエンザは毎年多くの人に影響を与える感染症ですが、予防することで感染リスクを減らすことが可能です。ワクチン接種や日常的な衛生管理、人との接触をなるべく避けてインフルエンザを予防しましょう!
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