近い将来にくるとされている南海トラフ地震。「大きな地震がくる」とはわかっているものの、具体的にどのあたりで起こる地震で、沖縄にはどのような被害が発生する可能性があるのかまで知っているという方は少ないのではないでしょうか?
そこで今回は、南海トラフ地震とはどのような地震なのかということを解説したうえで、沖縄で想定されている被害やすぐにできる備えについてご紹介します。万が一のときに自分自身や家族を守れるように、ぜひ読んでみてください。
もくじ
沖縄も無関係ではない?南海トラフ地震とは?
南海トラフ地震とは、駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界を震源として発生し、過去にも大きな被害をもたらしてきた大規模地震のことです。
大きな地震は日本全国で発生していますが、なぜこんなにも南海トラフ地震が危険だとされているのでしょうか?
その理由は、最大クラスの大きな地震に加えて、大規模な津波が想定されているからです。
気象庁の発表によると、南海トラフ地震が発生した場合、宮崎県から静岡県にかけての一部地域では最大震度7、広い地域で震度6強から震度6弱の強い揺れが想定されています。
また、九州地方から関東地方の太平洋沿岸部では10mを超える大津波が想定されているのです。
南海トラフ地震は100〜150年間隔で繰り返し発生しており、前回の南海トラフ地震(1944年の昭和東南海地震・1946年の昭和南海地震)発生から70年以上が経過していることから、次の南海トラフ地震が発生するのも近いといわれています。
参照:南海トラフ地震とは|気象庁
南海トラフ地震で想定される震度や津波の高さ|気象庁
南海トラフ地震で想定される沖縄県への被害
近いうちに南海トラフ地震が発生するとされていますが、上記でご紹介したとおり大きな被害が想定されているのは本土のため、「本土と離れている沖縄にはあまり関係ない」と思っている方もいるのではないでしょうか?
しかし、沖縄気象台によると、南海トラフ地震によりマグニチュード9の地震が発生し震源地が沖縄に近い場合、約1時間弱で沖縄本島北部に3m超えの津波が到達すると予想されています。
名護市や豊見城市を含む以下16市町村が南海トラフ地震防災対策推進地域に指定されているので、お住まいの地域が含まれている場合は警戒しておいたほうがよいでしょう。
南海トラフ地震防災対策推進地域 |
・名護市 ・糸満市 ・豊見城市 ・うるま市 ・宮古島市 ・南城市 ・国頭村 ・東村 ・与那原町 ・渡嘉敷村 ・座間味村 ・南大東村 ・北大東村 ・伊平屋村 ・八重瀬町 ・多良間村 |
南海トラフ地震防災対策推進地域とは、南海トラフ地震により著しい被害を受ける可能性があることから「地震防災対策を推進する必要がある」と指定された地域のことです。「震度6弱以上の地震が発生する可能性がある地域」「津波の高さ3m以上で海岸堤防が低い地域」「防災大勢の確保、過去の被災履歴への配慮が必要な地域」が指定されています。
参照:宮崎県日向灘を震源とする地震及び南海トラフ地震臨時情報の発表について
南海トラフ地震に備えてやっておきたいこと
いつか発生するであろう南海トラフ地震に備えて、今できることをやっておくことは重要です。
そこで以下では、南海トラフ地震に備えてやっておきたいことをご紹介します。家族で相談しながら準備を進めていきましょう。
食料品や生活消耗品の備蓄
第一に、家族分の備蓄をしておきましょう。
沖縄県では、電気やガス、水道などのライフラインが止まったときに備えて、家族3日分〜1週間分の食料や飲料水を備蓄するよう呼びかけています。具体的な内容としては、ご飯や乾パン、ビスケット、飲料水、生活用水などです。
このほか、生活消耗品であるトイレットペーパーやティッシュペーパー、カセットコンロ、ろうそくなども備えておきましょう。
「地震に備えての備蓄」というと、「保存期間が長いものを」と考えがちですが、特別なものを用意するのではなく、普段の生活で利用しているもので問題ありません。
そんなときに意識してほしいのが「ローリングストック」です。ローリングストックとは、常に備蓄(ストック)している食料などを賞味期限が近いものから消費し、消費したら備蓄を追加していく方法のことです。
災害用の食品などはほとんど出番がなく、気づいたときには消費期限を過ぎていることも珍しくありません。そうなるとフードロスにつながったり、ゴミが増えたり、無駄な出費になったりします。
ローリングストックをすることで無駄なく備蓄ができるため、災害に備えて備蓄をする際はぜひお試しください。
防災バッグの準備
自宅が被災して避難所などへ避難する場合に備えて、持ち出し用の防災バッグの準備も忘れずに行いましょう。防災バッグには以下のものを入れておき、いつでもすぐに持ち出せるようにしておくのがおすすめです。
・食料品、飲料水(人数分) ・救急セット(絆創膏・消毒液・常備薬など) ・衣類(下着・洋服・タオルなど) ・電子機器類(携帯ラジオ・予備電池・懐中電灯・携帯電話の充電器など) ・衛生用品(マスク・生理用品・軍手など) ・ミルク、紙おむつ、お尻ふき |
なお、備蓄用品も防災バッグの中身も、「必ずこれを入れなければならない」という決まりはありません。家族構成や人数などにあわせて、必要なものを必要なだけ準備しておくようにしましょう。
小さなお子さんがいる場合は、ミルクや紙おむつを多めに用意しておくと安心です。
家具の固定
地震の揺れにより家具が倒れると、避難経路が塞がったり怪我につながったりすることがあります。
そうならないためにも、家具の転倒防止のために柱や壁へ固定しておきましょう。
気象庁による「南海トラフ地震で想定される震度や津波の高さ」では、地震による沖縄県への大きな被害は想定されていません。
しかし、「沖縄県では絶対に大きな地震は起きない」という保証はありません。実際に平成22年10月に沖縄本島近海でマグニチュード7.2の地震が発生しているため、「大丈夫」だと油断せずに家族の安全確保のために家具の固定を行っておきましょう。
避難場所を確認しておく
災害時に家族が全員一緒とは限りません。さらに、災害発生時には携帯電話がつながりにくくなり、連絡が取れなくなる可能性もあります。
災害後に家族が再開できるよう、あらかじめ避難場所を決めておきましょう。近くに指定避難場所となっている小学校などがあればそこでもよいのですが、もし海抜が低い、家から遠いなどであれば家族の集合場所を決めておくと安心かもしれません。
なお、沖縄県内の避難所は「福祉避難所設置状況一覧(沖縄県子ども生活福祉部福祉政策課)」や「Yahoo!避難場所マップ」から探すことができます。
避難所とあわせて、避難所までの経路の安全確認も行っておくことをおすすめします。
たとえば、外壁が崩れてくる心配はないか、川のそばを通る避難経路になっていないかなどです。もし崩れる恐れのある外壁がある場合や川のそばを通らなければならない場合は、迂回するなどして安全な避難経路を確認しておきましょう。
もしも南海トラフ地震がきたら!?災害発生時の自助・共助・公助
上述した「南海トラフ地震に備えてやっておきたいこと」では、備蓄・防災バッグの準備が必要だと解説しましたが、なかには「避難所にさえ行けばあとは自衛隊や自治体、国が助けてくれるのでは?」と思っている方がいるかもしれません。
しかし「避難所へ行く必要がある災害」が発生した場合、自分たちだけではなくその他大勢の人も被災した状態です。そのため、すべての被災者がすぐに助けてもらえるわけではありません。
実際に、2024年1月1日に発生した能登半島地震では、被害の大きかった地域へとつながる道路が寸断されたことにより、救助活動や物資の輸送がかなり遅れました。地震発生から1週間経っても孤立状態の住民もいたようです。
沖縄県も本土から遠く離れているため、県内だけでの救助が間に合わなかったり、他県からの救助が遅れたりすることが想定されます。そのため、「自助」→「共助」→「公助」の救助の順番を覚えておくようにしましょう。
自分で自分の身を守る「自助」
自助とは、自分で自分の身を守ることで、家族を守ることも含まれています。
災害発生時、まずは自分が無事でいることが大切です。とくに災害発生直後は救助が行き届かない可能性があるため、「自助」を意識するようにしましょう。
先述した「南海トラフ地震に備えてやっておきたいこと」を参考にして、自助ができるように準備しておくことをおすすめします。
周囲の人たちと協力して助け合う「共助」
共助とは、隣近所や地域など周囲の人たちと協力して助け合うことです。
自分の身の安全が確保できたら、周囲にも目を向けてみましょう。避難の際に隣近所へ声かけをしたり、救助が必要な方を助けたりするのも共助に該当します。
公的機関による「公助」
公助とは、自治体や自衛隊、国といった公的機関による救助・援助のことです。
たとえば、避難所の確保や避難路の整備は公助で行われるのが一般的です。
これら3つの連携がスムーズなほど、災害時の被害は軽減できるといわれています。まずは自助ができるよう備えておき、共助・公助へと支援の和を広げていきましょう。
参照:能登半島地震で道路寸断、救助・支援阻む 孤立2300人超|日本経済新聞
いつ起こるかわからない南海トラフ地震に備えることが大切!
南海トラフ地震は近いうちにくるといわれていますが、沖縄県への被害はあまり問題視されていないため、なんとなく「大丈夫だろう……」と考えている方もいるのではないでしょうか。
しかし、実際にどれくらいの被害が出るのかは誰にもわかりません。今回ご紹介した内容を参考にして、万が一に備えておきましょう。
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