求職中にもらえる失業手当(失業保険)とは?期間や金額、受給の流れ、子育て中の活用ポイントをご紹介

失業手当(失業保険)

妊娠・出産・育児をするなかで、勤めていた会社を退職しなければならないこともあります。次の就職先が決まっていない場合は、経済的な不安を抱えることもあるでしょう。
退職した際は求職中も安心して生活を送れるよう、失業手当(失業保険)の受給を検討してみてはいかがでしょうか。

今回は、失業手当の条件やもらえる金額、期間、子育て中に就職活動を行う際のポイントをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

失業手当(失業保険)とは?

失業手当(失業保険)は、離職して新しい仕事を探している方が、失業中も安定した生活を送り、1日も早く再就職するための支援として雇用保険から給付される手当です。制度上の正式名称は「基本手当」といいます。

失業保険をもらえる条件は?

失業保険は、失業したら誰でももらえるわけではありません。
失業保険を受けるには、雇用保険に加入していて原則として離職前の2年間に12か月以上の被保険者期間があること、そして就職する意思と能力があり積極的に仕事を探しているにもかかわらず就職できていない状態にあることが条件となっています。

参照:基本手当について|ハローワークインターネットサービス

妊娠・出産・育児による退職の場合は?

妊娠・出産・育児が理由で退職した場合でも、上記の条件を満たせば失業手当を受けられます。
ただし、子育てのために退職後しばらく働く予定がない場合は、すぐに就職できる状態ではないため条件を満たさず、受給できません。

とはいえ、妊娠・出産・育児によってすぐに働けない状況は避けられません。
子どもが3歳未満の場合や出産を控えている場合は、子育てによるブランクを考慮して失業手当の受給期間を本来の1年から最長4年まで延長することができます。

受給期間を延長すれば、子育てがひと段落して就職活動を始める際に失業手当を受けられるようになります。「産後落ち着いてから就職活動を始めたい」という方は、延長の申請をしておくとよいでしょう。

失業手当はいつまで?いくらもらえる?

失業手当がもらえる期間は「所定給付日数」と呼ばれ、退職の理由や年齢、雇用保険の加入期間などによって異なります。最短でも90日あるため、少なくとも約3か月分の給付があると認識しておくとよいでしょう。

失業手当の総給付額は、「所定給付日数×基本手当日額」で決まります。
基本手当日額は1日分の給付額のことで、前職の退職前6か月の賃金合計を180で割った「賃金日額」に50%〜80%の給付率を掛け合わせて大体の金額を算出します。複雑な計算が必要になるため、正確な金額を知りたいときはハローワークに問い合わせてみてくださいね。

たとえば、前職の給与の総支給額が月額20万円程度の場合、失業手当の支給額は月額13.5万円程度とされています。給与額が高いほど給付率が下がり、低いほど給付率が上がるため、前職の給与額ともらえる失業手当の額は比例するわけではありません。前職の給料の5〜6割と捉えておきましょう。

参照:Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~について紹介しています。|厚生労働省

失業手当受給の流れ

失業手当(失業保険)

失業手当を受けるには、以下の流れで手続きを行います。

必要書類を準備する

一般に、失業手当の申請に必要な書類は以下のとおりです。

・雇用保険被保険者離職票
・マイナンバーカード
・証明写真(縦3cm×横2.4cm)2枚
・本人名義の預金通帳またはキャッシュカード

雇用保険被保険者離職票は、これまで退職する会社を通じて取得する必要がありましたが、2025年1月からマイナポータルで離職票を受け取れるようになりました。マイナポータルで受け取るとより早く申請ができて受給も早まるため、活用することをおすすめします。

参照:1月20日より、マイナポータルで離職票が受け取れます|マイナポータル

ハローワークで手続きを行う

必要な書類が揃ったら、管轄のハローワークで手続きを行います。
書類の提出日が「受給資格決定日」となり、その日から7日間は「待機期間」として失業手当を受給することはできません。

手続きと同時に、待機期間終了後に行われる雇用保険説明会についても説明を受け、日程を確認しましょう。

待機期間と給付制限

失業手当は、申請すればすぐに受け取れるわけではありません。7日間の待機期間と給付制限を経て手当の受給期間がスタートします。離職の理由によって受給開始のタイミングが異なるため、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。

待機期間とは、受給資格決定日からの7日間の「離職理由に関わらず失業手当を受給できない期間」です。
解雇や倒産など会社都合で退職した「特定受給資格者」は、7日間の待機期間を終えてすぐに失業手当の支給が開始されます。
妊娠・出産で受給期間を延長していた人や夫の転勤に帯同するために退職した人も、正当な理由がある「特定理由離職者」と認められることがあります。その場合も、7日間の待機期間を終えたらすぐに失業手当の受給が始まります。

一方、自己都合で退職した方には待機期間に加えてさらに「給付制限」が設けられています。
自己都合による退職は解雇や倒産などの予期せぬ退職に比べて再就職への準備がしやすいことから、待機期間に加えて1か月間は失業手当を受給できません。給付制限の期間を過ぎても就職できていない場合にのみ受給がスタートする仕組みとなっています。

雇用保険説明会に参加する

失業手当を受けるためには、制度の概要を説明する雇用保険説明会に参加する必要があります。説明会の日に「失業認定日」が決まるため、日程を確認しておきましょう。

認定日にハローワークへ行く

初回の失業認定日にハローワークへ行き、申告書を提出して失業の認定を受けます。認定を受けることで認定日までの日数分の失業手当の受給が決定し、1週間前後で指定の口座に振り込まれます。
初回は、待機期間や給付制限の終了後から認定日までの日数分の金額を受け取ることになります。総支給額を一括で受け取れるわけではないため、注意しましょう。

なお、失業手当の受給期間中にアルバイトなどで収入を得た場合は、認定日に申告する必要があります。労働時間や得た収入の額によっては失業手当の金額や受給できる日数に影響することもあるため、注意してください。

求職活動を行い認定日にハローワークへ

初回の認定日のあとは、4週間に1回のペースで認定日が設定されます。認定日に繰り返し失業の認定を受けることで、受給できる日数に達するまで失業手当を受けることができます。

失業の認定を受けるためには、認定日までにハローワークへ行って就職の相談をしたり、求人に応募したりと原則月2回以上の求職活動を行う必要があります。応募せずにネットの求人情報を見るだけでは求職活動にカウントされないため、気をつけましょう。

なお、初回は雇用保険説明会が求職活動2回分とカウントされるため、認定日までにほかの就職活動を行わなくても失業手当を受給することができます。

受給の延長を申請するときは?

失業手当を受給できる期間は、離職日の翌日から1年間が原則となっています。上述のように、妊娠・出産・育児により退職後すぐに働くことが難しい場合は、受給期間を最長4年まで延長することができます。延長を申請する際はハローワークへ以下の書類を提出しましょう。

・受給期間延長申請書
・雇用保険被保険者離職票
・延長理由を確認できる書類(母子手帳、医師の診断書など)

なお、延長の申請は退職した日から4年以内であれば可能ですが、申請が遅いと本来受け取れるはずの失業手当を受給できなくなる場合もあります。
申請は退職日当日から可能なので、産前のうちに申請を済ませることをおすすめします。

子育て中の失業手当活用のポイント

失業手当(失業保険)

子育てをしながら就職活動を始める際に知っておきたい、失業手当活用のポイントをご紹介します。

子連れならマザーズハローワークへ

最近では、子育てと育児を両立させたいと考えるママのためのマザーズハローワークも増えています。
キッズスペースが設置されていて子連れでも足を運びやすくなっているため、ハローワークでの手続きのために預け先を探す必要がありません。また、子育てと両立しやすい仕事の案内だけでなく、保育関連の情報も提供してもらうことができます。

沖縄県内では、那覇市と沖縄市の2箇所のハローワーク内に「マザーズコーナー」として支援窓口を設けています。子育てをしながら就職活動を行う際は、ぜひ足を運んでみてください。

参照:マザーズコーナー~仕事と子育ての両立支援窓口~|沖縄労働局

職業訓練も受講可能

ハローワークでは、求職活動中の方のキャリアアップや就職支援のために職業訓練を実施しています。
一部テキスト代などは自己負担となりますが、Webデザインや介護職、調理、パソコンなどさまざまな科目を無料で受講できます。講座によって期間は2か月〜2年のものがあり、受講者は失業手当の支給日数が訓練終了日まで延長されます。

手当を受けながらスキルアップが図れるため、産後新しい仕事にチャレンジしたいという方は受講してみてはいかがでしょうか。

就職活動のための保育サービス利用は補助も

採用の試験や面接に行かなければならない場合は、ベビーシッターや保育園の一時預かりといった保育サービスを利用することもあるでしょう。
就職活動や職業訓練の受講のために保育サービスを利用した場合、「求職活動関係役務利用費」として保育サービスの費用の一部が支給されます。日数や金額には上限がありますが、保育サービスを利用する際はぜひ活用してください。

失業手当を活用して子育てと仕事の両立を

失業手当は、妊娠・出産・育児が理由で退職した場合にも申請できます。子育てでしばらく働けない場合は、受給期間の延長を申請しましょう。育児が落ち着いてから仕事を再開する際に手当を受け取れるようになります。

退職は誰にでも起こりうるものです。失業保険の制度を知って、安心して就職活動や子育てができる環境を整えてくださいね。

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みちる

沖縄に暮らす2児の母です。
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