小学生が利用する「学童保育」とは?利用条件や沖縄県内の特徴をご紹介

学童保育

子どもが小学校に入学したら、放課後や長期休みの居場所として活用されているのが「学童保育」です。日中、家に人がいない共働きの家庭にとってはありがたい学童保育ですが、「誰でも入れるの?」「料金はどのくらい?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、学童保育の利用条件や料金、学童保育の利用が増加している背景などをご紹介します。沖縄県内の特殊事情や学童保育の選び方のポイントについてもまとめてるので、ぜひ参考にしてみてください。

学童保育とは?

学童保育とは、仕事などで保護者が自宅にいない小学生の児童を預かる保育サービスのことです。放課後や土曜日、長期休暇の間、家庭に代わって安心して過ごせる生活の場を提供しています。保護者の仕事と子育ての両立や、子どもたちの安全・安心な生活を保障することが主な目的です。
以前は小学校3年生までを対象としていましたが、2015年以降は全学年が対象となっています。

学童保育の間、子どもたちは指導員である大人が見守るなかで勉強や宿題をしたり、好きな遊びをしたり、おやつを食べたりして過ごします。土曜日や長期休みには、遠足などのイベントを行うこともあります。

公立学童と民間学童の違い

学童保育は、公立と民間の2種類に大きく分けられます。

公立学童(放課後児童クラブ)

公立の学童保育は「放課後児童クラブ」と呼ばれ、管轄は厚生労働省です。運営は地域の自治体のほか、社会福祉法人や保護者会、民間企業に委託している場合もあります。

放課後児童クラブの対象は、保護者が仕事や病気、介護などで子どもを見られない家庭の小学生です。小学校の空き教室や敷地内の専用施設、児童館などで実施されていることが多く、子どもたちは放課後児童支援員という専門の資格を持った職員と一緒に過ごします。

公立学童の預かり時間は施設によって異なりますが、子どもたちの下校時刻に合わせて開所し、18時〜19時ごろまでに終了することがほとんどです。

民間学童

民間の学童保育は、民間企業やNPO団体によって運営されています。職員は放課後児童支援員の資格を必要としない場合もあります。

民間学童は保護者に対する条件がなく、定員に空きがあれば入所できるのが一般的です。
公立学童に比べて預かり時間が長いのが特徴で、平日は20時ごろまで利用できるところが多くなっています。なかには、早朝から深夜まで預かりが可能な施設もあります。

民間学童のなかには英語学習やスポーツといった習い事のようなプログラムを用意している施設もあり、施設によって過ごし方はさまざまです。

放課後子ども教室

放課後児童クラブと似た名前で、文部科学省が管轄・運営する「放課後子ども教室」があります。

放課後子ども教室は、小学校の空き教室や児童館、公民館などを利用して、地域の方々や民間の教育事業者と一緒に学習やさまざまな体験プログラムを行っています。
公立小学校に通う子どもなら誰でも参加でき、学区外の子どもを受け入れている場合もあります。また、特別なイベントやプログラムを行う場合を除いて利用料は無料です。

放課後子ども教室は、学童と同様に子どもたちの放課後の居場所を提供するものです。ただし、実施は週に数回程度で、単発のプログラムとなっています。学童のように子どもを長期的に預けられるわけではないことを頭に入れておきましょう。

学童保育の利用増とその背景

学童保育

以下では、学童保育の利用者の増加とその背景についてご紹介します。

学童保育の利用者は増加傾向にある

「全国学童保育連絡協議会」の調査によると、2024年5月時点で学童保育は全国に24,536件存在しています。全国の公立小学校・義務教育学校(前期)に通う1年生から3年生の児童のうち、学童保育に入所している割合は40.2%でした。1998年以降、学童保育の施設数と学童に入所する児童の数は増加の一途を辿っています。

参照:学童保育実態調査|全国連協

学童保育増加の背景とは?

学童保育の利用が増えている理由として、子どもや家庭を取り巻く環境の変化が挙げられます。

昔は放課後に子どもだけで遊びに出かけたり、留守番をしたりすることも当たり前でした。しかし、最近では子どもを狙った犯罪やトラブルに巻き込まれる危険性が高まり、子どもだけで放課後の時間を過ごすことを避ける傾向にあります。

また、かつては両親が働いていたとしても、祖父母や親戚、地域の方が協力して子どもを預かってくれる場合がありました。しかし、最近では核家族化や共働きの増加により、以前よりも周囲の協力を得にくくなっています。

こうした背景から、学童保育の利用を希望する家庭が年々増えていると考えられます。
一方で、急激な需要の高まりに整備が追いつかず、保育園と同じように学童保育の「待機児童」が生じていることも社会問題となっています。

学童保育と「小1の壁」

学童保育の利用増加の背景として、「小1の壁」というキーワードが挙げられます。
小1の壁とは、子どもが小学校1年生になると仕事との両立が難しくなることを指します。

保育園や幼稚園では子どもを朝早くから夕方まで預かってもらうことができます。一方、小学校では下校時間が日々異なり、低学年のうちは正午〜15時ごろには下校することがほとんどです。
また、保育園や幼稚園と違って小学校には夏休みや冬休みなどの長期休暇があるため、その間の子どもの過ごし方も考えておかなければなりません。

一方で、企業側の時短勤務や残業の免除といった子育てへの配慮は、未就学児の期間を想定していることが多くなっています。そのため、場合によっては子どもが小学生になったとたんに勤務調整が難しくなることもあります。

こうした小1の壁を乗り越えるためにも、学童保育のニーズは年々高まっているのです。

学童保育の利用条件や料金

以下では、学童保育の利用条件や料金についてご紹介します。

学童保育の利用条件

学童に入所する手続きは施設によって異なりますが、利用する前年度に自治体や希望する施設に申し込みをして、面接や審査を受けることが多くなっています。
空き状況や保護者の就労状況などによっては、希望する施設に入れない可能性もあることを頭に入れておきましょう。

公立学童では、仕事などの理由で保護者が家を留守にしている家庭を対象としています。入所には認可保育園と同じように、利用を希望する前年度に自治体に申し込みをするのが一般的です。希望者の数が定員を上回る場合は、自治体が入所の必要性が高いと判断した順に入所が可能になります。

一方、民間学童では保護者の状況に関わらず、定員に空きがあれば入所できるのが一般的です。
ただし、人気の施設はすぐに定員が埋まってしまうため、申し込みの期間や方法などを早めにチェックしておく必要があります。

学童保育の利用料金

学童保育の利用料金は、公立か民間かによって大きく変わってきます。

公立学童の場合、1か月の利用料金は4,000円〜1万円程度が目安です。
一方、民間学童の場合は施設によって預かり時間やサービスの内容が異なり、利用料金もさまざまです。公立学童よりも高額になる傾向にあり、1か月2万円程度から施設によっては10万円近くかかる場合もあります。

民間が8割?沖縄県内の学童保育の特殊事情

令和6年度のこども家庭庁の調査によると、全国の公立学童の割合は公営・民営合わせて75.1%でした。これに対し、沖縄県内では公立学童の割合が17%で、残り83%が民立民営の民間学童となっています。

全国に比べて民間の割合が高いこともあり、沖縄県内の学童にはさまざまな特殊事情があります。沖縄県内で学童を選ぶ際には、以下の点を知っておくとよいでしょう。

参照:公的施設整備(学童) | 沖縄県学童・保育支援センター

沖縄の学童は学校外の施設がほとんど

学童の実施場所については、全国の学童の79.9%が公的施設を活用していて、具体的な場所は実施率の高い順に学校の空き教室、学校敷地内の専用施設、児童館・児童センターとなっています。
これに対し、沖縄県内では66.1%が民間施設を活用していて、具体的な場所は民家・アパート、空き店舗、民有地専用施設の順に実施率が高くなっています。

民間施設の場合、学童保育のために作られた設備ではないこともあります。そのため、外遊びができるスペースや駐車場の有無など、施設によって差が大きいのが特徴です。

職員が車で送迎を行う場合も

多くが民間施設を利用していることに伴い、子どもたちが徒歩で通うには少し大変な距離にある学童もあります。また、複数の校区から子どもを受け入れている施設もあります。
そのため、沖縄県内では学童の職員が車で小学校まで子どもたちを迎えに行くことも少なくありません。

沖縄で学童を選ぶ際には、送迎にかかる費用や安全対策についてもチェックしておく必要があります。

沖縄は学童の利用料が全国の約2倍

おやつ代などの実費を含まない月額利用料を比較すると、全国では4,000円〜6,000円未満が27.8%ともっとも多くなっているのに対し、沖縄県ではもっとも多い価格帯が8,000円~10,000円未満で全体の26.9%となっています。1万円以上の割合も、沖縄県は全国に比べて高い結果でした。

沖縄県内では民間学童の割合が高い分、利用料が高い傾向にあると考えられます。
また、上述した民間施設の利用や車での送迎による費用も、利用料が高くなる要因となっています。

学童保育選びのポイント

学童保育

学童保育を利用する際は、子どもが長い時間を過ごす場所になるため、安心できる施設を選びたいものです。

以下では、学童を選ぶ際のポイントをご紹介します。

利用可能な時間は十分か

共働き家庭の場合、仕事を終えてからお迎えしても間に合う時間まで学童を利用できるかどうかが重要なポイントです。土日や長期休みの時間についても事前に確認しておきましょう。
一般的に民間学童のほうが長く利用できる傾向にありますが、公立学童でも延長保育を行っている場合があるため、事前にチェックしておくと安心です。

通い続けられる利用料か

公立学童の場合は月額の利用料に大きな差はありませんが、民間学童の場合は施設によって利用料に大きく差があります。利用料に加えておやつ代や特別なプログラムに実費などがかかる場合もあるため、高額な場合は通い続けられなくなってしまうかもしれません。
事前に月額の利用料金を確認し、通い続けられる料金の学童を選ぶようにしましょう。

職員の資格や人数は適切か

学童保育には、放課後児童支援員という専門の資格を持った職員を配置することが義務付けられています。
すべての職員が資格を持っている必要はありませんが、専門的な知識のある職員が多い方が安心できるかもしれません。なかには保育士免許や教員免許を持つ職員がいる場合もあるため、事前にチェックしておくとよいでしょう。

また、単に職員の数が少ないと子どもたちに細かなケアができず、指導や安全面に差が出ることもあります。子どもの数に対して職員の数が適切かどうかも確認しておくと安心です。

学習指導を行なっているか

学童では、施設によって宿題や学習への対処に差があります。
「宿題が終わったら遊んでよい」というルールを設けている学童もあれば、子どもの自主性にまかせるという方針の学童もあります。また、民間学童では宿題とは別に学習プログラムを用意している場合もあります。

「宿題をしっかり見てほしい」「勉強をして過ごしてほしい」など希望がある場合は、学習指導の有無や内容についても確認しておきましょう。

学童保育を活用して仕事と育児の両立を

小学生の放課後や長期休みの居場所となる学童保育は、共働き家庭の強い味方です。
施設によって利用可能な時間や料金、過ごし方はさまざまなので、お子さんや家庭に合った学童を選ぶとよいでしょう。

沖縄県には民間学童が多く、車で送迎する場合があることや全国に比べて利用料が高いといった特徴があります。地域の事情を理解したうえで、安心して預けられる施設を探してみてくださいね。

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みちる

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