うちなーんちゅを愛し、うちなーんちゅに愛されるファーストフード店「A&W(エンダー)」。2023年11月1日に、なんと60周年を迎えました。
そこで、あんまーるではA&W沖縄60周年を祝福し、記念連載を実施! 第1弾となる今回は、A&Wの歴史を深掘りします。じつは、A&W誕生のきっかけは“あのドリンク”だったんです……!
◯ A&W沖縄60周年記念連載
A&W(エンダー)のバンズ・お肉・野菜へのこだわりとは?【A&W沖縄60周年記念連載 Vol.2】
A&W(エンダー)のグッズ・豆知識をご紹介!懐かしのアレも【A&W沖縄60周年記念連載 Vol.3】
もくじ
沖縄を代表するファーストフード店!「A&W(エンダー)」とは
うちなーんちゅはもちろん、観光客からも人気のファーストフード店「A&W」。「エンダー」の愛称で親しまれており、那覇空港店をはじめ、国際通り松尾店や美浜店、北谷店など、観光地を中心に県内に23店舗を構えています。店舗によってはドライブスルー・ドライブインがあったり、遊び場があったり、24時間営業だったりするため、いつ誰とでも好みのスタイルで食事を楽しめます!
そんなA&Wの代表的なメニューといえば「The A&Wバーガー」! パティ・トマト・レタス・オニオンフライ、そして濃厚なクリームチーズに黒糖ペッパーポークを挟んだ一品です。
ボリューミーなのはもちろん、それぞれの具材がベストマッチしてとても美味! お腹も心も満足する、ずばり「THE A&W」なハンバーガーです。
そして、A&Wといえば外せないのが「ルートビア」ですよね。A&Wのオリジナルドリンクで、はじけるような爽快感とクリーミーな泡が癖になる一品です。ハンバーガーとの相性も抜群で、全店舗で毎日無料でおかわりできるのもうれしいポイントです!
A&W(エンダー)の始まりは?誕生から沖縄に進出するまで
ボリューミーでおいしいメニューが勢揃いのA&W。その歴史は今から約100年前まで遡ります。
1919年、アメリカ・カリフォルニア州。薬局で働くロイ・アレン(Roy Allen)は、病気を患っていた友人へのお見舞いとして、アリゾナ州の薬剤師が考案したレシピをもとにオリジナルのヘルシードリンクを作りました。それこそが、約14種類ものハーブのエッセンスがつまった口当たりのよい炭酸飲料「ルートビア(Root=根、Beer=ビール)」です。
1919年6月20日、アレンはカリフォルニア州ロディ市のロードサイドに、ルートビアを売るためのスタンドをオープンします。当時は禁酒法が制定されていたこともあり、ノンアルコールのルートビアは瞬く間に大人気に! 薬というよりもおいしい飲み物として知られるようになりました。
その後、ルートビアスタンドの従業員だったフランク・ライト(Frank Wright)をビジネスパートナーに加え、1922年にふたりの頭文字を取り、ルートビアを「A&Wルートビア」と名付けて会社を設立します。そして、ハンバーガーやホットドックなどのメニューを加えて、「アメリカ初のフランチャイズチェーン」を展開したのです!
1950年ごろには450店のA&Wドライブインが開店し、海外へも進出。そして1963年、戦後アメリカの統治下だった沖縄に「日本初のファーストフードレストラン」としてA&Wが誕生しました。
屋宜原店からスタート!A&W沖縄の誕生と歩み
沖縄にA&Wが誕生したのは、1963年11月1日のこと。営業を軌道に乗せるまでの道のりには、大きな挑戦とさまざまな苦労がありました。
A&W沖縄 第1号店の誕生
A&W沖縄の第1号店は「屋宜原(やぎばる)店」です。屋宜原店の建設を請け負ったのは、その当時、米軍基地内の外国人向け住宅の建設などを手掛けていた平良幸雄氏(以下 平良氏)。現在は、A&W沖縄の代表取締役会長を務めています。
平良氏が屋宜原店の建設を請け負ったきっかけは、平良氏がアメリカの民間建設会社に務めていたころの上司であるG・フェロー氏が、平良氏のもとにD・アダムスとJ・バーンズという2人のアメリカ人を連れてきたことだったそう。2人はA&Wがアジアに進出したことを受けて、店舗経営権を取得して沖縄にやってきたのです。
そんな2人から見せられたのは、A&Wの沖縄における設計図。「平良に任せれば大丈夫」という信頼を感じた平良氏は、店舗の設計から従業員の採用、ルートビアの調合、ハンバーガーの調理まで、一緒になって手伝うようになります。
この当時は、日本にはまだファーストフード店がない時代です。何もかもが新鮮で、彼らが作っているものを見たこともなければ食べたこともない。その状況のなか、平良氏は新しいものに戸惑うことなく「発見」と前向きに捉えて第1号店の開業をスタートさせました。
うちなーんちゅにとっても身近な存在に
A&W沖縄の第1号店である屋宜原店は、嘉手納基地に近い立地とドライブインスタイルが受けて、連日多くのアメリカ人で賑わいました。その実績を買われた平良氏は、A&W沖縄 2号店となる「牧港店」の開店を機に、1968年にD・アダムスらとともに「A&W牧港合名会社」を設立します。
そして、その1年後にD・アダムスらがアメリカに帰国することになり、平良氏が屋宜原店と牧港店を買い取り、経営権を引き継ぎました。
牧港店の設計から携わった平良氏は、「アメリカ人だけでなくうちなーんちゅにも利用してもらうこと」を意識しました。その結果、A&Wはうちなーんちゅにとっても身近な存在になっていきます。
同時に「あなたとわたしのドライブイン」というキャッチフレーズとCMソングを作り、ラジオで繰り返し流したことで、A&Wの存在があっという間に浸透していきました。
この当時、A&Wのロゴ入りマグをそのまま持ち帰るお客さんが多かったといいます。本来であれば、店舗で使用している食器の持ち帰りは企業にとって大きなダメージとなりますが、平良氏はスタッフに「止めずに持たせなさい」と伝えたそうです。その理由は、お客さんにマグを自宅に持ち帰ってもらえば宣伝になると考えたから。今では現実的とはいえない宣伝方法ですが、それが功を奏し、A&Wの認知度・人気度はどんどん向上していきました。
その後、A&W沖縄は1973年12月にアメリカ本社と正式にフランチャイズ契約を締結します。このとき平良氏がこだわったのは「日本人に合う、沖縄に合うメニューの開発をA&W沖縄で行う」という契約も同時に結ぶこと。その願望が叶い、A&W沖縄はアメリカ本社とのフランチャイズ契約を結んだあと、直営店の出店やFC店の拡大に注力すると同時に、沖縄独自のオリジナルメニュー開発に取り組みました。
競争のなかでも独自のスタイルを維持
1976年、A&W沖縄はそれまでパティの原料を調達していた食肉輸入会社「イバノ」をオーストラリア人の経営者から引き継ぎました。そして翌年にはバンズの生産を依頼していた「ホンコンベーカリー」を買収し、主要食材の自社生産を実現します。
また、このころからマクドナルドやモスバーガーが沖縄に進出し、沖縄のファーストフード競争が激化していきます。しかし、それでもA&Wはドライブインレストランという独自のスタイルを崩さず、地域密着型の営業を続けました。このときのことを平良氏はこう振り返っています。
企業というのは競争社会の中にあるものです。出店には苦労もしたし、いろいろ大変でした。でもその間、お客さまを裏切るようなことはしたくなかった。だからこそ我々はお客さまに支えられてきたのだと思っています。
引用:エイアンドダブリュ沖縄 50th Anniversary A&W BOOK
そして1991年1月19日には、A&W沖縄 牧港店が世界中のA&Wチェーン全体で売上最高記録を維持していることを讃えられ、「A&Wゴールデンマグ賞」を受賞しました。
知ればあなたもA&Wマニアに!A&W沖縄のこれまでの動向
最後に、A&W沖縄の誕生から今に至るまでの主な出来事をまとめてご紹介します。
1962年 | 平良幸雄氏が(有)パークサイド建設を設立。A&W屋宜原店の店舗建設を請け負う |
1963年 | A&W沖縄 第1号店「屋宜原店」開店(※現在は臨時休業中) 〒901-2304 中頭郡北中城村屋宜原700(MAP) |
1968年 | A&W牧港合名会社を平良幸雄氏と米国人パートナーで設立 |
1969年 | A&W沖縄 第2号店「牧港店」開店 〒901-2131 浦添市牧港4-9-1(MAP) |
1971年 | 平良幸雄氏がアメリカ人のパートナーから屋宜原店・牧港店の経営権を引き継ぐ |
1973年 | ・A&W沖縄「三越店」開店(※現在は閉店) ・A&W 初のフランチャイズ店「与那原店」開店(※1986年に閉店) ・A&W「胡屋店」開店(※1984年に閉店) ・A&W沖縄株式会社設立 |
1974年 | ・A&Wの親善大使 ザ・グレートルートベア(愛称:ルーティ)が登場 ・A&W「小禄店」開店(※現在は閉店) ・A&W「長田店」開店(※1984年に閉店) |
1975年 | ・A&W「国際店」開店(※2000年に閉店) ・沖縄国際海洋博覧会開幕。会場内に3店舗を出店 ・A&W「新栄店」開店(※1983年に閉店) |
1976年 | ・A&W「宮古店」開店(※現在は閉店) ・A&W「名護店」開店 〒905-0021 名護市東江5-16-12(MAP) ・A&W「石垣店」開店 〒907-0022 石垣市大川245(MAP) |
1977年 | ・A&W「空港店」開店 ・A&W「松山店」開店(※2000年に閉店) ・ホンコンベーカリーを買収し、バンズの自社生産を始める |
1978年 | 本部事務所機能を宜野湾市から浦添市へ移転 |
1980年 | ・九州地域フランチャイザーオプション権契約成立 ・浦添市牧港にレストラン「リ・ド」開店 |
1982年 | A&W「サンシティ店」開店(※2000年に閉店) |
1984年 | ・第1回ラジオファミリーラリー開催 ・’84サマーキャンペーン “Hello! Tokyo Gals” ・A&W「松本店」開店(※1992年に閉店) |
1985年 | ・A&W沖縄「牧港店」にスペースシャトル型の遊具が完成 ・A&Wニュース(社内報)の第1号を創刊 ・A&W沖縄全店のメニューを統一。新メニュースタート ・A&W「安慶名店(現:うるま安慶名店)」開店 〒904-2214 うるま市安慶名1-4-5(MAP) |
1986年 | ・A&W「南鹿児島店」開店(※1987年に閉店) ・’86 A&Wサマーカーニバル “A Washoy Summer!” ・A&W「北谷店」開店 〒904-0101 北谷町上勢頭549-2(MAP) ・A&W「泡瀬店」開店 〒904-2174 沖縄市与儀1-1-1(MAP) |
1987年 | 沖縄市プラザハウス内にレストラン「ティボリ」開店(※2011年に閉店) |
1990年 | ・「火曜日はルートビアデー」を実施 ・A&W「牧港店」リフレッシュオープン |
1991年 | ・A&W沖縄 牧港店が「A&Wゴールデンマグ賞」を受賞 ・秋のショップ別キャンペーン スタート ・A&W「美浜店」開店 〒904-0115 北谷町美浜2-5-5(MAP) |
1992年 | A&Wコンベンションで沖縄の3店舗表彰 |
1993年 | A&W「古波蔵店」開店(※現在は閉店) |
1994年 | A&W「ヨナシロ中城モール店」開店(※2002年に閉店) |
1995年 | ・A&W「美里店」開店 〒904-2156 沖縄市美里仲原町1-1(MAP) ・カーリーフライ新登場 |
1996年 | ・A&W「愛知店」開店(※2003年に閉店) ・メルティリッチ新登場 |
1997年 | ・平良健一氏が社長就任、平良幸雄氏が会長就任 ・沖縄市フェアモール内に「プラザハウス店」とビアレストラン「ケニーズ」開店 ・A&W「大阪フェスティバルゲート店」開店(※1999年に閉店) ・ルートビア毎日おかわり無料に |
1998年 | ・A&W「城山ヒルズ店」開店(※現在は閉店) ・A&W「宮古下里通り店」開店 〒906-0013 宮古島市平良下里571-11(MAP) ・A&W「名桜店」開店 〒905-0006 名護市宇茂佐1703-8(MAP) |
1999年 | ・A&W「金城店(現:那覇金城店)」開店 〒901-0155 那覇市金城5-8-8(MAP) ・A&Wアメリカ 80周年。現在のロゴマークに変更 |
2000年 | ・A&W「糸満店」開店 〒901-0301糸満市阿波根1543-1(MAP) ・A&W「カーニバルパーク美浜店」開店(※現在は閉店) ・A&W「おもろ店(現:那覇新都心おもろ店)」開店 〒900-0006 那覇市おもろまち4-21-22(MAP) |
2001年 | A&W「普天間店」開店(※現在は閉店) |
2002年 | ・ビッガーバーガーシリーズ登場 ・A&W「牧港店」リニューアルオープン |
2004年 | ・A&W「イオン南風原店」開店(※現在は閉店) ・A&W「豊見城店」開店(※現在は閉店) |
2005年 | ・モッツァバーガー&ワッフルサンデー新登場 ・「魔法のマグ2005」発売 |
2007年 | ・ファインダイニング「ケニーズ」開店(※現在は閉店) ・A&W「豊崎店」開店(※現在は閉店) |
2008年 | ・A&W「サンエー経塚店」開店 〒901-2111 浦添市経塚652番地 サンエー経塚シティ内2階(MAP) |
2009年 | ・A&W「ラウンドワン宜野湾店」開店(※2013年に閉店) ・A&Wアメリカ 90周年 |
2010年 | ・ベントーミール新登場 |
2011年 | ・やんばるいのぶたバーガー発売 ・チリチーズスーパーフライ新登場 ・A&W Plus Cafe プラザハウス1Fにリニューアルオープン 〒904-0023 沖縄市久保田3-1-12 プラザハウス 1階(MAP) ・A&W「アウトレットモールあしびなー店」開店(※現在は閉店) |
2012年 | ・A&W「宜野湾コンベンションシティ店」開店(※現在は閉店) ・A&W「宮古空港店」開店 〒906-0013 宮古島市平良字下里1657-128(MAP) ・「ビッグスマイルキャンペーン」スタート ・平良幸雄氏 2012年度沖縄県功労賞を受賞 |
2013年 | ・バースデーバーガー&THE A&W Burger登場 ・「マイマグでちょっといいこと。プロジェクト」開始 ・6月20日はルートビアの日。ルートビアが1杯50円に ・A&W沖縄 50周年 |
2016年 | ・A&W「中部徳洲会病院店」開店 〒901-2393 中頭郡北中城村アワセ土地区画整理事業地内2街区1番(MAP) ・A&W「うるま安慶名店」開店 〒904-2214 うるま市安慶名1-4-5(MAP) ・A&W「マリンタウンあがり浜店」開店 〒901-1304 島尻郡与那原町東浜68番1-2(MAP) |
2017年 | ・A&W「国際通り松尾店」開店 〒900-0014 那覇市松尾1-1-1 2F・3F(MAP) |
2019年 | ・A&Wアメリカ 100周年 ・A&W「浦添パルコシティ店」開店 〒901-2123 浦添市西洲3-1-1 サンエー浦添西海岸 PARCO CITY内2階(MAP) |
2020年 | ・A&W「イーアス沖縄豊崎店」開店 〒901-0225 豊見城市字豊崎3番地35(MAP) |
2023年 | ・A&W沖縄 60周年 |
うちなーんちゅを想い進化してきたA&W沖縄
60年もの長い期間、うちなーんちゅの食生活を支えてきたA&W沖縄。沖縄に進出した当初、そしてファーストフード店が認知され利用されるようになるまでには、さまざまな苦労があったことでしょう。しかし、それでもA&W沖縄は常にうちなーんちゅに寄り添い、進化してきました。そして今、うちなーんちゅにとってなくてはならないファーストフード店としてその地位を確立しています。
A&W沖縄のこれまでの歴史を知った上で食事をすると、また違った味わいが広がるかもしれません。この記事をご覧になったあなた、ぜひお近くのA&Wへ行ってみてください!
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