2024年5月に改正された「育児・介護休業法」とは?法律の内容と具体的な変更点をご紹介

育児・介護休業法 改正

2024年5月24日に育児・介護休業法(正式名称:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)が改正され、2025年4月1日から施行されることになりました。
今回の法改正により、子どもの年齢や家族の状態に合わせた柔軟な働き方や、育児休業・介護休業の取得がしやすくなると考えられています。

そこで今回は、育児・介護休業法の概要や改正された内容について解説します。現在子育て中・妊娠中・介護中で「仕事も家庭も上手に両立したい!」と考えている方は、改正された育児・介護休業法の内容をチェックしておきましょう。

もくじ

育児・介護休業法とは?

育児・介護休業法 改正

育児・介護休業法は、育児や介護を担う方が仕事と家庭の両立ができるよう支援するための法律です。

近年の日本は、少子高齢化が進んだことで労働人口が減少しています。さらに、仕事を続けたくても妊娠や出産、育児、介護などにより退職をせざるを得ないケースもあります。
このままでは労働人口がさらに減り続けてしまうことから、育児や介護をしながら仕事を続けやすい環境作りを行い、労働人口を確保するための法律として「育児・介護休業法」が制定されました。

育児・介護休業法の主な制度

育児・介護休業法で定められている主な制度は以下の5つです。

制度名内容
育児休業子どもを養育するために取得できる休業制度です。休業期間は原則として「子どもが1歳になるまで」と定められていますが、保育園に入ることができない場合は最長2歳まで取得することができます。
なお、子どもが1歳になるまでの期間は原則2回まで取得でき、1歳6か月〜2歳までの期間は1回まで取得可能です。
出生児育児休業出生後8週間以内の子どもを養育するために、父親が2回に分けて通算4週間取得できる育児休業制度です。育児休業制度とあわせて取得すれば、子どもを養育するための休業期間を伸ばすことができます。
子の看護休暇小学校就学前の子どもがいる親が、有給休暇とは別で取得できる休暇制度です。子どもが怪我や病気をしたとき、予防接種や健康診断を受けるときなどに、子どもひとりあたり年間5日間取得できます。また、子の看護休暇は時間単位で取得することも可能です。
介護休業要介護状態の家族がいる場合、介護やお世話のために利用できる休業制度です。対象の家族ひとりあたり通算93日間を3回まで分割して取得できます。
ただし、介護休業を取得する場合は原則として2週間前までに申請が必要です。
介護休暇要介護状態の家族がいる場合、介護を行うために対象の家族ひとりにつき年間5日間取得できる休暇制度です。休暇当日の申請や時間単位での取得が可能です。

2025年4月から育児・介護休業法はどう変わる?

育児・介護休業法 改正

2024年5月24日に育児・介護休業法が改正され、2025年4月1日から施行されることになりました。
今回の法改正により、育児・介護休業法はどのように変わるのでしょうか? 具体的な変更点は以下のとおりです。

子どもの年齢に応じて柔軟な働き方ができるよう措置の拡充

法改正により、子どもの年齢に応じてより柔軟な働き方ができるようになります。
育児をしながらキャリア形成ができるよう、主に3歳から小学校入学前の子どもがいる方を対象に働き方を選択できるようにするための内容です。

3歳〜小学校就学前の子どもがいる従業員が柔軟な働き方ができるよう対策することが

育児中の方が柔軟な働き方ができるよう、事業主は以下の労働方法から2つを選択して実施する必要があります。

・テレワーク
・短時間勤務
・始業時刻の変更
・新たな休暇の付与
・働きながら子どもを育てやすい環境作り

さらに、これらの働き方を導入するにあたり、子どもが3歳になるまでに個別で周知と意思確認を行うことも義務化されています。

残業免除の対象範囲を「小学校就学前の子どもを療養する従業員」へ拡大

残業免除(所定外労働の制限)の対象者が拡大されます。
法改正前は「3歳以下の子どもがいる方」となっていましたが、法改正後は「小学校就学前の子どもがいる方」へと拡大されました。

子どもの看護休暇が行事参加などでも取得可能に

法改正前は看護休暇の対象が「小学校就学前までの子ども」でしたが、法改正後は「小学校3年生まで」に拡大されました。
さらに、看護休暇を「子どもの怪我や病気」「予防接種・健康診断」だけでなく、「行事の参加」でも取得できるようになります。

3歳までの子どもがいる従業員に対してテレワークが努力義務に

先ほどご紹介した「3歳〜小学校就学前の子どもがいる従業員が柔軟な働き方ができるよう対策することが義務化」では、「3歳〜小学校就学前の子どもがいる従業員」が対象でした。
しかし、こちらでは「3歳までの子どもがいる従業員」がテレワーク勤務できるよう努力することが事業主に課されます。あくまで努力義務となっていますが、もしテレワークを希望する場合は職場に掛け合ってみてもよいかもしれません。

仕事と育児の両立に関して個別に意向聴取・配慮を義務化

育児中、または育児予定の従業員が子育てとキャリアを両立できるよう、事業主は個別に意向を確認し、両立できるよう配慮する必要があり、これが義務化されました。
たとえば、妊娠や出産についての報告があったタイミングや子どもが3歳になるまでの期間に面談を行い、育児休業の取得意向や今後の勤務の希望などをヒアリングします。その上で、就業場所や勤務時間、業務量などの調整、労働条件の見直しなどを行います。

育児休業取得状況を公表する義務を拡大・次世代育成支援対策の推進と強化

育児休業取得状況の公表義務が拡大され、次世代育成支援対策法が延長されます。
具体的には「育児休業取得状況を公表する義務を常時雇用の人数が300人以上の企業へ拡大」「育休取得状況などの状況把握と数値目標の設定を義務化」「次世代育成支援対策推進法が10年間延長」の3つが施行されます。

育児休業取得状況を公表する義務を常時雇用の人数が300人以上の企業へ拡大

法改正前は、常時雇用の人数が1,000人以上の事業主に毎年1回以上、育児休業の取得状況を公表する義務がありました。
法改正後は、育児休業の取得状況を公表する義務の対象となるのが、常時雇用の人数が300人以上の事業主へと拡大されます。これにより、より多くの企業で育児休業の取得促進が期待できるでしょう。

育休取得状況などの状況把握と数値目標の設定を義務化

法改正前は、次世代育成支援対策推進法(※1)に基づいて、企業は従業員の子育てと仕事に関する「一般事業主行動計画」を取り決めて届け出ることが義務化されていました。その内容や目標数値項目は企業で自由に決められましたが、法改正後は育児休業の取得状況や労働時間の状況といった数値の目標設定が義務化されます。

※1 次世代育成支援対策推進法とは、次世代育成支援対策に関する基本理念や行動計画策定指針などを定めた法律のことです。少子化対策の一貫として、次世代を担う子どもが健やかに生まれ、育成される社会の形成に資することを目的としています。

次世代育成支援対策推進法が10年間延長

2025年4月に法改正される育児・介護休業法とあわせて、関連性の高い「次世代育成支援対策推進法」も改正されました。
法改正前の次世代育成支援対策推進法は2025年3月末で終了する予定でしたが、少子化が加速する現状において必要性の高い施策であることから、法改正後は2035年3月末まで10年間延長されることになりました。

介護離職を防ぐために仕事と介護の両立支援制度を強化

育児・介護休業法の法改正では、介護の部分でも大きな改正がありました。

両立支援制度などの個別周知と意向確認を義務化

従業員から家族の介護についての申し出があったタイミングで、事業主による両立支援制度についての個別周知をし、意向確認することが義務化されました。
もし家族の介護が必要になった場合は、両立支援制度について会社へ詳しく確認しておくとよいでしょう。

両立支援制度などに関する早めの情報提供や雇用環境整備を義務化

事業主は40歳を超えた従業員に対して、介護休業制度や両立支援制度について、できるだけ早めに情報提供を行うことが義務化されました。

介護休暇の“勤続6か月未満の従業員を排除する仕組み”を廃止

法改正前は、勤続6か月未満の従業員は介護休暇の取得が難しい傾向にありました。しかし、法改正後は勤続6か月未満でも介護休暇が取得できるようになります。

家族介護中の従業員に対するテレワークが努力義務に

家族の介護を行っている従業員に対して、テレワーク勤務ができるよう努力する義務が事業主に課されます。ただし、あくまでも努力義務のため、もしテレワーク勤務を実現できなくても罰則などはありません。

改正された育児・介護休業法について理解しておこう!

2024年5月に育児・介護休業法が改正され、2025年4月から施行されることになっています。
現在妊娠中・子育て中・介護中の方だけでなく、これから子どもを産みたいと考えている方にとってかなり重要な法改正となっているため、今回ご紹介した改正内容を押さえておきましょう。

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さえこ

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