沖縄の秋の祭典「那覇大綱挽」とは?その歴史を知ってより深く楽しもう

那覇大綱挽

500年以上の伝統を持つ「那覇大綱挽(なはおおづなひき)」。那覇市民にとっては身近なイベントかもしれませんが、その歴史までご存じの方は少ないのではないでしょうか?

そこで今回は、2023年10月に4年ぶりに通常開催される「那覇大綱挽」の歴史から、東西それぞれの旗頭(はたがしら)に込められた意味、綱引きの楽しみ方などをご紹介します。歴史を知れば、那覇大綱挽をより深く楽しめるかも……? ぜひご覧ください!

沖縄三大綱引きのひとつ!「那覇大綱挽」とは?

那覇大綱挽は、那覇市を代表する一大イベントであると同時に、沖縄県内最大規模の伝統文化催事です。毎年10月、スポーツの日を含む3連休の中日(日曜日)に開催され、当日は大勢のうちなーんちゅ・観光客で賑わいます。

那覇大綱挽の歴史

琉球王国時代の「那覇四町綱(なはゆまちじな)」の伝統を引き継ぐ、那覇大綱挽。その歴史は古く、発祥は定かではないものの西暦1450年ごろといわれています。

そもそも沖縄の各地域では、古くから綱引きが行われています。
たとえば、南部島尻ではその昔、害虫被害による稲の不作が続いたことから、藁で綱を作り、その綱を村内で引いたあと、綱を焼いたそうです。すると翌年から害虫による被害がなくなり、豊作に恵まれたといいます。これをきっかけに、「豊作のお礼・火の神へのお願い・豊年の引き寄せ」の意味を持つ行事として、綱引きが毎年行われるようになったそうです。

その一方で、那覇四町大綱は国事や沖縄・那覇の慶事の際に行われる特別な行事です。那覇市の発展を願うと同時に、那覇の人々の心意気を発揚する行事として誕生・確立したといわれています。
当時から今と変わらず、東西に分かれて綱引きが行われていましたが、勝負に熱中するあまり喧嘩が始まったり、逮捕者が出るほど激しい争いになったりすることもあったんだとか……。それほど、一人ひとりが誇りを持って参加していたのです。

明治以降、那覇四町大綱は「お祝い綱」として幾度も開催されるようになりましたが、1935年(昭和10年)、第二次世界大戦によって中断してしまいます。その後、沖縄が祖国に復帰する前年の1971年、当時の那覇市長により市制50周年記念事業として、10月10日(那覇空襲の日)に「那覇大綱挽」と名を変え復活しました。

那覇大綱挽
大綱がギネスに認定される前年の新聞。実家に眠っていました。
出典:1994年10月17日 月曜日 琉球新報

その後は開催されるたびに盛況となり、1995年には「米藁で製作された世界一の綱」としてギネスに認定されました。綱の成長にあわせてギネスの記録は3度更新され、最後に認定された1997年には、総重量およそ40t・全長186m・綱直径1m58cm・手綱数236本の記録を打ち出しました。

参照:那覇大綱挽について|那覇大綱挽
参考文献:ギネス認定 世界一の大綱 那覇大綱挽|那覇大綱挽保存会
     那覇大綱挽二十周年記念誌|那覇大綱挽保存会

2023年の開催情報

新型コロナウイルス感染症の影響により一時は開催中止となっていた那覇大綱挽ですが、2023年、なんと4年ぶりに通常開催されることが決定しました!

開催日:2023年10月8日(日)
旗頭行列:11:30~14:00(国際通り
那覇大綱挽:14:30〜17:00(国道58号線 久茂地交差点)

歴史を知ってから参加すると、いつもとは異なる楽しみ方ができるかもしれませんね。

那覇大綱挽の旗頭行列とは?東西それぞれの旗頭を知ろう

那覇大綱挽

那覇大綱挽では、綱引きの前に「旗頭行列」が行われます。14の地域がそれぞれの旗頭を持って国際通りを練り歩く、迫力満点のイベントです!

旗頭は、古くから「村のシンボル、まもり神」として根付いている村の旗印。旗には地域別に古今の名著から取った句柄が記されており、町や村興しの目標にもなっています。
旗頭の大きさ・重さは地域によって異なりますが、全長はおよそ7〜10m、総重量はおよそ40〜60kgです。その大きな旗頭を旗持(はたもち)がひとりで持ち上げる光景はまさに圧巻で、旗頭行列の見どころのひとつとなっています。

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東の旗頭

現在、那覇大綱挽保存会に登録されている公式の伝統旗頭は14旗。そのうち、東の旗頭には以下の7つがあります。

東一番(大結)全長:8m
総重量:51kg
「東(ひがし)」那覇四町大綱から那覇大綱挽まで、一貫して東方の一番旗であることを表している。
安里(薄)全長:7m85cm
総重量:53kg
「英聲遠(えいせいけん)」英聲即ち優れた誉れ、名誉、名声を極めて、その誉れを永遠に持続するよう努力しなければならないことを意味する。
壺屋(炎)全長:7m57cm
総重量:53kg
「翔竜鳳雛(しょうりゅうほうすう)」偉大な人物が世のため・人のために力を尽くそうと飛び立とうとする姿を、鳳凰の雛が健やかに育ち龍となって天高く飛び立たんとする姿で言い表している。
泊(緋桐燈)全長:8m60cm
総重量:50kg
「尚武(しょうぶ)」武を尊ぶこと。文武両道の泊人を象徴する旗字になっている。
久茂地(盛鶴)全長:8m30cm
総重量:50kg
「與鳳翔(よほうしょう)」鳳凰が雲の上をゆく鶴に大きな力を与えてくれることを意味し、転じて我等に力を与えてくれという願いが込められている。
首里(左御紋)全長:7m10cm
総重量:70kg
「瑞雲(ずいうん)」五穀豊穣と無病息災をもたらす“ゆがふう(世界報)”の“しののめ(東雲)”を表し、めでたいことの前兆として現れる雲を意味する。
真和志(ぼたん)全長:ー
総重量:29.5kg
「真和志泰平(まわしたいへい)」真和志地域がよく治まり(家庭円満・繁盛・子孫繁栄・無病息災)平和になるようにという願いが込められている。

参照:旗頭行列|那覇大綱挽
参考文献:ギネス認定 世界一の大綱 那覇大綱挽|那覇大綱挽保存会
     那覇大綱挽二十周年記念誌|那覇大綱挽保存会

西の旗頭

西の旗頭には、以下の7つがあります。

西一番(八卦)全長:ー
総重量:50kg
「凱歌(がいか)」戦いに勝利したときに歌う祝いの歌を表している。
辻(子丑寅)全長:ー
総重量:ー
「和氣(わき)」和気あいあいの和気を指し、地域の調和・協調や旗持の団結を意味する。
久米(水仙)全長:7m
総重量:50kg
「不染塵(ふせんじん)」塵に染まらず=悪事に染まらないという意味が込められている。
若狭・松山(京判やーま)全長:7m62cm
総重量:48kg
「鎮群(ちんぐん)」群れを鎮める。那覇大綱挽でほかに抜きん出てその存在感を表すという意味がある。
垣花(砂糖車)全長:7m65cm
総重量:38kg
「天行健(てんこうけん)」古代中国の書物である易経にある「天行ハ健ナリ。君子ハ以ッテ自ヲ彊メテ息マズ」からの引用。天は自然・宇宙、行は自然の行い、健はお互いに育つことを指し、地上のすべての生き物が大自然の恵みを受けて健全に育っていくことを意味する。
泉崎(巴)全長:8m
総重量:55kg
「泉(いずみ)」泉崎・湧田が水が豊富なところであったこと、そして泉崎という地名の発祥を意味している。
小禄(松竹梅)全長:7m43cm
総重量:45kg
「小禄意氣昂(おろくいきたかし)」昂の字は「日」とふり仰ぐ意とともに音を示す「卯」で成り立っており、太陽をあおぎ見て意気をあげるという意味がある。また昂は「たかぶる」とも読み、自慢する・おごるという意味も含まれている。

参照:旗頭行列|那覇大綱挽
参考文献:ギネス認定 世界一の大綱 那覇大綱挽|那覇大綱挽保存会
     那覇大綱挽二十周年記念誌|那覇大綱挽保存会

太鼓隊やほら貝隊にも注目

旗頭行列の先頭には、各地域の太鼓隊・鉦子(鐘のような楽器)隊・ほら貝隊などの姿もあり、独特なリズムで演奏しながら行進します。太鼓隊・ほら貝隊の多くは小学生や中学生の子どもたちで構成されており、楽しそうに演奏する姿が印象的です。
もしかしたらお子さんの友人や近所の知り合いが参加しているかもしれないので、旗頭行列ではぜひ太鼓隊やほら貝隊にも注目してみてくださいね!

ぜひ綱引きに参加して!綱を持ち帰るのもお忘れなく

旗頭行列の後は、国道58号線 久茂地交差点にて那覇大綱挽が開催されます。

那覇大綱挽の主役となる大綱は、上述のとおり総重量およそ40t・全長186m・綱直径1m58cmとビッグサイズ! 毎年、2か月ほどかけて職人の手で作られています。
綱引きにはうちなーんちゅはもちろん、観光客も自由に参加できます。大綱から出ている手綱を持ち、ほかの参加者と協力して綱を引く体験は、まさに那覇大綱挽ならでは! この機会にぜひ参加してみてくださいね。

綱引きの楽しみ方

那覇大綱挽

那覇大綱挽の醍醐味は、誰でも祭りに参加できるところ。1997年に開催された「第27回那覇大綱挽」では、なんと27万5,000人もの人が綱引きに参加しました。その後、大綱はどんどん成長しているため、参加者もより多くなっているでしょう。

通常の綱引きでは綱の動きを直に感じられますが、那覇大綱挽ではそうはいきません。大綱だからこそ、動かすためには周囲の参加者と息を合わせて引く必要があります。そのため、その日に初めて会った人たちといつ間にかコミュニケーションを取っており、最後には仲間意識が芽生えるんです!
綱引きの決着がつき、自分がいる方角が勝利したときには、思わず周囲の参加者とハイタッチするなんてことも。夏の終わりに新たな思い出ができる点もまた、那覇大綱挽の魅力です。

さらに、那覇大綱挽の綱は縁起物とされており、手綱の一部は持ち帰ることができます。幸せを呼ぶ綱「嘉例綱(かりーつな)」として飾るもよし、しめ縄として新年に飾るもよし。綱引きへ参加する方もしない方も、那覇大綱挽へお越しの際はぜひ持ち帰ってくださいね。

あらかじめ確認しよう!那覇大綱挽に行く際の注意点

那覇大綱挽へ行く際は、以下の注意点を確認しておきましょう。とくに、お子さんと一緒に行くママ・パパは要チェックです!

交通規制について

2023年10月8日(日)は、国際通りと国道58号線に交通規制が敷かれます。お出かけの際は十分にご注意ください。

国際通り(安里三叉路からパレット久茂地前交差点):11:30~14:00
国道58号線(松山交差点から泉崎交差点):14:30~19:00

手綱の持ち帰りについて

先ほど「那覇大綱挽の手綱の一部は持ち帰ることができる」とお伝えしましたが、だからといってナイフをはじめとする刃物を持ち込むのはNGです! 禁止事項として定められているため、マナーを守って那覇大綱挽を楽しみましょう。

なお、手綱が欲しい場合は係員にその旨を伝えると切り取ってくれますよ。

迷子について

那覇大綱挽には毎年多くの人が訪れます。国際通り・国道58号線 久茂地交差点は人でいっぱいになり、一度はぐれてしまうと再会するのが困難になることも……。そのため、お子さんと一緒に行く際ははぐれないようしっかり手をつなぎましょう!
また、万が一迷子になったときに備えて、子どもにもわかりやすい集合場所を決めておくのもおすすめです。

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熱中症について

10月は暦上は秋ですが、まだまだ暑さを感じる季節です。旗頭行列・那覇大綱挽が開催される時間帯はとくに暑くなることが予想されるため、「こまめに水分補給をする」「直射日光を避ける」などの熱中症対策は欠かさず行いましょう。

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祭り飯・花火あり!「RBC市民フェスティバル」も満喫しよう

那覇大綱挽まつり RBC市民フェスティバルは、2023年10月7日(土)〜9日(月)までの3日間、奥武山公園で開催されるイベントです。食事やゲームの屋台、移動式遊園地、お化け屋敷などが並ぶほか、メインステージではアーティストによるライブやカラオケ大会を楽しめます。

那覇大綱挽
2016年10月10日 那覇大綱挽まつり RBC市民フェスティバルの打ち上げ花火。

さらに、開催日すべての20:30には花火が打ち上げられます。およそ10分と時間にすると短めですが、見応えはばっちり! 最後の夏の思い出に、ぜひ花火まで楽しんでみてください。

イベント名那覇大綱挽まつり RBC市民フェスティバル
場所奥武山公園
〒900-0026 沖縄県那覇市奥武山町52(MAP
日時【日程】2023年10月7日(土)〜9日(月)
【時間】11:00〜21:00
料金入場無料
駐車場なし
※お越しの際は、モノレールやバス、タクシーをご利用ください。
※近隣のショッピングセンターへの駐車はご遠慮ください。

家族で那覇大綱挽を楽しもう!

4年ぶりに通常開催される「那覇大綱挽」。この日を楽しみにしていたうちなーんちゅの方は、多いのではないでしょうか?

那覇大綱挽の歴史を知って足を運べば、いつもとは違った楽しみ方ができるかもしれません。また、旗頭の旗字と意味を知れば、その意義をより強く感じられるでしょう。
さらに、歴史や旗字について理解を深めれば、子どもに那覇大綱挽がどういうイベントなのかを正しく伝えられるようになり、それはきっと那覇大綱挽の後継につながります。

沖縄三大綱引きである那覇大綱挽の楽しさ、そして重要性をお子さんに伝えるためにも、ぜひ家族で足を運んでみてください!

 


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※ アイキャッチ画像 提供元:那覇市

ゆーりんちー

食べること🍙 が大好きなあんまーるの編集長。
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