沖縄のお正月には本土とは違った文化や風習があることをご存じでしょうか?
テレビで見る本土のお正月では、おせち料理やお雑煮、そば粉を使った茶色のお蕎麦などを食べていますが、そのどれもが沖縄で食べることはほとんどありません。
そこで今回は、沖縄のお正月について詳しくご紹介します。「ずっと沖縄で過ごしているけれど本土のお正月とどう違うんだろう」「沖縄に引っ越してきて初めてのお正月だから沖縄のお正月について知りたい」というママ・パパはぜひチェックしてみてくださいね。
もくじ
沖縄の年越し・お正月に食べる料理とは?
沖縄の年越し・お正月に欠かせない食べ物といえば「沖縄そば」! 本土のようにそば粉を使った茶色のお蕎麦は食べませんが、沖縄そばを年越しそばとして食べる家庭は多いようです。
では、沖縄はいつから沖縄そばを年越しそばとして食べるようになったのでしょうか? また、お正月には沖縄そば以外にどのような料理を食べるのでしょうか?
以下では、沖縄の年越し・お正月に食べる料理をご紹介します。
年越しそばの代わりに沖縄そば
本土ではお正月を迎える前に、そば粉を使った年越しそばを食べるのが一般的です。
「そばのように細く長く生きる」「年越しの前に食べ切って厄災を断ち切る」という意味を込めて、お正月にそばを食べるようになったそうです。
その一方で、沖縄で年越しそばといえば小麦粉を使った沖縄そば! そば粉を使った年越しそばを食べるという家庭はほとんどないようです。もちろん筆者も毎年、沖縄そばの年越しそばを食べています。
というのも、そもそも沖縄には年越しそばを食べる風習はありませんでした。
年越しそばとして沖縄そばを食べるようになったのは、1972年の本土復帰からといわれています。本土復帰したあと、本土の年越しそばを真似して沖縄そばの製麺所が年越しそばを打ち出したのが始まりとされているようです。
おせちやお雑煮の代わりに食べるのは重箱料理
本土のお正月といえば、黒豆や数の子、かまぼこ、伊達巻玉子などが入ったおせち料理、そしてお餅の入ったお雑煮を食べるのが一般的です。
一方で、沖縄ではおせち料理やお雑煮を食べる習慣がありません。そのため、「そもそもおせちって何が入っているの?お雑煮って何?」と思っている方もいるのではないでしょうか?
沖縄ではおせちやお雑煮の代わりに、お盆や晴明祭(シーミー)でもお馴染みの重箱料理やオードブルを食べる家庭が多いようです。
重箱には豚の三枚肉や昆布、こんにゃく、ごぼう、揚げ豆腐などが入っていて、慶事か弔事かによってわずかに内容が異なります。たとえば、お正月など慶事のときは三枚肉の皮の部分を下にして詰め、ピンク色のかまぼこや結び昆布、あんこ入りやピンク色のお餅などが入っています。
このほか、お正月には昆布の炒めものである「クーブイリチー」、豚の内臓を使った「中身汁」、田芋を甘く煮付けた「田芋でんがく」などを食べる地域もあります。
ちなみに筆者の祖父母宅では、お正月には重箱料理とオードブル、中身汁を食べていました。小さいころからその光景に慣れていたため、テレビや雑誌などで本土のおせち料理を初めて見たときはその華やかさに驚いた記憶があります……!
沖縄の新正月と旧正月の過ごし方
では、沖縄と本土でお正月の過ごし方はどう違うのでしょうか?
沖縄では新正月のほか旧正月も祝う風習があるため、新正月と旧正月の過ごし方をご紹介します。
お正月の過ごし方
本土の場合、お正月休みには家族で旅行に出かけるという方もいるでしょう。
一方で、沖縄ではお正月に家族で旅行へ出かける方は少ない傾向にあります。その代わり、祖父母の家や親戚の家に新年の挨拶にまわったり、祖父母宅に帰省するという方が多いようです。仏壇のある家には親族が集まるので、仏壇がある家は来客の対応で忙しくなることも……。
また、親戚の家をまわる際は、お歳暮またはお年賀を持って出向き、仏壇にお供えするのが一般的です。お歳暮やお年賀には、お米やシーチキン、ハム、洗剤などが選ばれる傾向にあります。
品物選びで迷った場合は、相手の家族構成や好みを考慮した上で、「自分なら何をもらったら嬉しいか」ということを考えながら選ぶとよいかもしれません!
沖縄は旧正月も祝う
沖縄はもともと旧暦文化です。現在も旧正月に限らず、七夕やお盆などを旧暦で行う風習が残っています。お正月に関しては、最近は新正月を祝う家庭も増えてきていますが、旧正月を重視している家庭もまだまだ多いようです。ちなみに、2024年の旧正月は2月10日(土)です。
旧正月には、仏壇に正月飾りや重箱料理を供えて家族の健康と繁栄を願います。旧暦は潮の満ち引きと関係していることから、漁業の盛んな糸満市などでは地域を上げて旧正月を盛大に祝います。漁港では大漁旗を掲げて、航海安全や大漁を祈願するそうです。
「旧正月のお祝いを見てみたい」という場合は、旧正月の日に糸満漁港へ行ってみるとよいかもしれません。数多くの漁船に色とりどりの大漁旗が掲げられている光景は圧巻で、きっとお子さんと一緒に楽しめるでしょう!
このほか、本土では「年が明ける前はお歳暮」「年が明けたらお年賀」というのが一般的なルールです。これに対し沖縄では、「旧正月まではお歳暮でも大丈夫」というローカルルールがあります。そのため、年明けにお年賀を買いに行き熨斗付けをお願いすると、「お年賀にするか、それともお歳暮にするか」と尋ねられることも多々あります。
沖縄のお正月のお年玉事情
本土では「子どもの年齢に合わせて金額を変える」というケースが多いようですが、沖縄のお年玉の相場は1人あたり1,000円となっています。
というのも、沖縄はそもそも子どもの数も親戚の人数も多い傾向があります。また、仏壇のある家には多くの親戚が訪れるため、「〇〇の長男の娘」や「〇〇の娘の子ども」など遠くの親戚と会うことも珍しくありません。一人ひとりの年齢に合わせてお年玉をあげようとすると大変な金額になってしまうことも……。そのため、子どもの年齢にかかわらず1人あたり1,000円が一般的になっているのです。
このほか、沖縄では旧正月を祝う風習があることから、新正月と旧正月はどちらでお年玉を渡したらよいの?と悩むこともあるでしょう。
最近は新正月を盛大に祝い、旧正月はささやかに祝うという家庭が増えてきているので、新正月にお年玉を渡しても問題ありません。ただし、もし旧正月を盛大に祝う家庭の場合は、旧正月に渡してもよいかもしれませんね。
ちなみに筆者は子どものころ、祖父母からは新正月と旧正月の2回お年玉をもらったことがあります。基本的に新正月の1回きりなのですが、たまたま旧正月に遊びに行ったら2回目のお年玉をもらえました。沖縄の旧正月文化は、子どもにとってはちょっとお得感のある行事かもしれませんね!
沖縄のお正月を楽しもう
今回ご紹介した内容から、沖縄のお正月と本土のお正月ではかなり違いがあることがわかりますよね。沖縄が本土復帰してから50年の年月が経過した今でもこれほど違うことに、驚いた方もいるのではないでしょうか?
沖縄のお正月と本土のお正月に違いがあることを知らない子どもたちも多いので、お正月を前にお子さんと「沖縄のお正月」についてお話をしてみてもよいかもしれませんね。
あんまーるでは、沖縄で子育てをしているママとパパの声を大切にしています。
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