沖縄の行事は本土と違う?代表的な5つの行事を深掘りしてご紹介

沖縄 行事

琉球王朝時代の沖縄では、農作物の収穫や漁獲の周期と深い関連がある旧暦で生活をしていました。そのため、沖縄の年中行事や地域の祭祀の多くが、現在でも旧暦で行われています!

今回は、その中でもとくに有名な行事にスポットをあてて特徴をご紹介します。

沖縄の代表的な行事①:旧盆

沖縄のお盆「旧盆」は、本土のお盆と日程が異なります。
本土の場合、8月15日を中心にその前後3〜4日間にわたり行われますが、沖縄では旧暦の7月13日〜7月15日の3日間に行います。ちなみに、2023年は8月28日(月)〜8月30日(水)でした。

旧盆前になるとどのスーパーにも旧盆商品が並び、旧盆準備をする買い物客で賑わいます。
旧盆商品には、たとえば綱引きの綱のように草をねじって円状にした「ガンシナ」があります。昔は頭の上に乗せた荷物を固定するために使用されていましたが、今は旧盆の際にスイカやパイナップルなどの大きな果物を仏壇に飾る際の土台として使用されています。このガンシナは、先祖があの世にお土産を持って帰る際に、頭に乗せるためのものとされています。

このほか、重箱に入れるためのお惣菜が単品で売られていたり、仏壇用の果物がまとめて売られていたりします。スーパーに旧盆商品が並ぶと「お盆がきた」という感じがしますよね。

お盆の3日間の呼び方と過ごし方

旧盆の3日間は、それぞれ呼び方が異なるほか、過ごし方も変わります。

1日目:ウンケー

お盆初日の「ウンケー」は、ウンケージューシー(沖縄風炊き込みご飯)を炊いて先祖を迎えます。夕方に先祖を迎えるため、仏壇のある家は早い時間から先祖を迎える準備で忙しくなります。

2日目:ナカビ

2日目の「ナカビ」は親戚周りの日です。仏壇を持っていない家はお中元を持って仏壇のある家へ行くことになるため、親戚が多い場合は1日に数軒まわることも珍しくありません。
一方、仏壇を持っている家は仏壇に1日3食供えるだけでなく、中味汁(豚の腸を使った汁物)などの料理を作って親戚を迎えます。

3日目:ウークイ

最終日の「ウークイ」は先祖が帰る日です。送りの儀式は夜に行うため、朝と昼はナカビ同様、仏壇に食事を供えます。

夜には仏壇にウサンミを並べます。ウサンミとは、煮付けや豚の三枚肉、天ぷら、かまぼこ、昆布などが入った供え物の重箱です。

その後、仏壇にお供えしたウサンミを親族で食べる「ウサンデー」をしてお見送りの儀式を行います。
お見送りの儀式では、「あの世のお金」と呼ばれる「ウチカビ」を燃やします。スーパーで200円程度で購入できるウチカビは、あの世では1枚1万円になるそうです。先祖が帰ったあとにあの世でお金に困らないよう、たくさんウチカビを燃やす家庭が多くなっています。このウチカビは、お墓参りや旧盆のときにも燃やします。

さらに、旧盆には各地で青年会による「道ジュネー」が行われます。
道ジュネーとは、先祖の供養のために沖縄の伝統芸能であるエイサーを演舞しながら地域を練り歩くもの。旧盆の3日間行われていて、とくに先祖を見送るウークイの日は夜遅くまで太鼓の音が鳴り響いている地域もあります。

離島の旧盆

一言で「旧盆」といっても、地域によってその風習はさまざまです。

石垣島のアンガマ

「アンガマ」は、旧盆の時期に木彫りの面をつけたオジィとオバァが、仏壇のある家をまわる石垣島の伝統行事。木彫りの面をつけたオジィ「ウシュマイ」とオバァ「ンミ」が、サングラスやタオルで顔を隠したお供を連れて、三線や太鼓を鳴らしながら練り歩きます。仏壇のある家に到着したら、仏壇に手を合わせて踊りや歌を披露します。

オジィ「ウシュマイ」とオバァ「ンミ」は、見物客から質問を受けると裏声でトンチの利いた回答をするそう。近年は、このアンガマを見るために訪れる観光客も増えています。

波照間島のムシャーマ

旧暦の7月14日の旧盆期間中に行われる「ムシャーマ」は、豊年豊漁と先祖供養を祈願する波照間島伝統の行事です。五穀豊穣と幸をもたらす神「ミルク様」を先頭に仮装行列を行います。
ミルク様の後ろには「ミルクンタマー」と呼ばれる子どもたち、雨降らしの神「フサマラー」、道化師の「ブーブザー」などが続いて歩きます。

仮装行列のあとは、棒術や念仏踊り、舞踊など、さまざまな伝統芸能が奉納され、最後に獅子舞が登場します。

沖縄の代表的な行事②:清明祭(シーミー

清明祭(シーミー)

親族でお墓に集まり、ご馳走を広げて楽しい一時を過ごす「清明祭(シーミー)」。お墓で行われる行事ではありますが、お祭り行事にあたります。そのため、もしこの1年で親族に亡くなった方がいる場合、その年はシーミーを行わないのが一般的です。

沖縄のお墓は本土のお墓とは形が異なり、亀の甲羅や女性の子宮を型どったといわれている「亀甲墓(きっこうばか)」タイプがほとんど。お墓の前がちょっとした広場のようになっているのが特徴で、シーミーの際はそこでご馳走をいただきます。
最近では本土の人にもこの文化が知れ渡っているため、「沖縄の人ってお墓でピクニックするんでしょ?」と質問されたことがあるうちなーんちゅも多いのではないでしょうか?

そんなシーミーの起源は、1768年にまで遡ります。もともとは中国由来の儀礼に習ったとされていて、当時は国王が先祖を祀るために行っていたそうです。その後、王家に近い貴族や士族を中心に普及していきました。
現在でも旧暦の3月頃から週末を中心に沖縄本島全域で行われており、シーミーの時期になると道路のあちこちでシーミー渋滞が発生します。

シーミーでは、お餅や魚の天ぷら、昆布、かまぼこなどを詰めた重箱と果物、お菓子、お酒をお墓に供えて先祖を供養します。近年は現代の嗜好に合わせて、フライドチキンやオードブルをお供えする家庭も増えているそうです。

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沖縄の代表的な行事③:旧正月

お正月といえば1月1日。沖縄でも本土と同様、新暦の1月1日にお正月祝う家庭も増えてきましたが、もともとは旧暦1月1日の「旧正月」を祝うのが一般的でした。
沖縄で新正月を祝うようになったきっかけは、日本復帰する前に琉球政府が開催した「新生活運動」といわれています。そのなかでお正月を新暦で祝う「新正月一本化運動」が行われ、少しずつ新暦でのお正月が浸透していきました。それにより、現在は新正月と旧正月のどちらも祝うという家庭が多くなっています。

沖縄の旧正月では、仏壇に正月飾りを並べて家族の健康と繁栄を祈願して新年を祝います。地域の商店街・スーパーにもお正月用の料理やお菓子が並び、旧正月の準備をする買い物客で賑わいます。
とくに旧暦は潮の満ち引きと深く関係していることもあり、漁業が盛んな糸満市をはじめ、浜比嘉島や宮城島などの小さな離島は、旧正月を盛大に祝う風習が残っています。

沖縄の代表的な行事④:結婚式

wedding reception

沖縄の結婚式も、本土の結婚式とはかなり異なっています。いくつかの項目に分けてご紹介します。

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招待客の人数

本土の厳かな雰囲気がある結婚式とは異なり、沖縄の結婚式はかなり盛大に行われます。
招待客は200〜300人というのが一般的で、なかには300人を超える結婚式を行ったという人も少なくありません。招待客は、新郎新婦の親族をはじめ、友人・知人・会社関係者・両親の友人などです。

招待状

招待状の渡し方も本土と沖縄では少し異なります。
本土では返信ハガキ付きの招待状を郵送して参加の可否を確認するのが一般的ですが、沖縄では招待状を送る前に口頭で参加の可否を確認するため、基本的に返信ハガキを付けません。さらに、遠方に住む方へは郵送しますが、県内に住んでいる方へは手渡しをするのが一般的です。

席次

結婚式の席次は、新郎新婦が座る高砂から近い場所に親族が座ります。本土では高砂からもっとも離れた位置に親族が座るので、真逆の席次になっているといえるでしょう。

ご祝儀

ご祝儀の相場は1万円です。親族であれば多めに包むこともありますが、友人・知人・会社関係者などは基本的に一律1万円となっています。
本土の結婚式の相場は3万円といわれているため、本土から参加する方は安く感じるでしょう。

料理

本土ではコース料理が一般的ですが、沖縄の結婚式の料理はほとんどが大皿です。中華料理のように円卓の上に料理が並ぶスタイルのため、くるくる回して自分で料理を取り分けます。

最後は参列者も一緒にカチャーシー

沖縄の結婚式では、最後に必ずカチャーシーを踊ります。新郎新婦だけでなく、親族や友人・知人、会社関係者など参列者全員で踊るのが一般的です。
自ら新郎新婦のいるステージに上がる方も多いため、結婚式の最後はステージ上にたくさんの人がいることも少なくありません。

沖縄の代表的な行事【おまけ】:パーントゥ

パーントゥは、宮古島の島尻地区で毎年旧暦の9月上旬に開催される厄祓いの行事です。正式名称を「パーントゥ・プナハ」といい、1993年には重要無形民俗文化財に指定されました。

島尻地区の3人の青年が仮面をつけて、全身にシイノキカズラというツルと泥をまとった神様「パーントゥ」に扮します。パーントゥがまとっている泥は「ンマリガー(産まれ泉)」と呼ばれる神聖な泉の泥で、硫黄のような強烈な臭いを放ちます。
この行事では、新築の家のお祓いや子どもたちの無病息災を祈願して泥を塗りつけてまわるため、「日本一の奇祭」とも呼ばれているそうです。

毎年、パーントゥに泥を塗り付けられた子どもたちが泣いている様子がニュースになるため、一度は目にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか?

沖縄ならではの行事を理解して伝統を守り続ける

このように、沖縄には本土とは異なる行事がたくさんあります。どれも旧暦に沿った行事となっていることから、先人たちがどれほど旧暦文化を大切にしてきたかがわかります。
ライフスタイルの変化などにより、「すべての行事を昔のまま」というわけにはいきませんが、できる限り歴史と文化を守りつつ次の世代に継承していきたいものですね。

 


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さえこ

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