普段、家庭で沖縄の伝統料理を食べますか?
沖縄には独自の食文化が根付いているため、本土にはない伝統料理が数多く存在しています。しかし、「日常的に伝統料理は食べるものの、作り方を親や祖父母などの身内から受け継いではいない」という家庭が増えているようです。
それぞれの家庭の味があるのにもかかわらず、お子さんやお孫さんにその伝統を受け継ぐことができないのは、もったいないと思いませんか?
そこで今回は、沖縄に古くから伝わる伝統料理をご紹介します。あわせて基本の作り方もご紹介しているので、ぜひ家庭でお子さんと一緒に作ってみてくださいね。
参照:令和5年3月 食育に関する県民意識調査|沖縄県保健医療部 健康長寿課
もくじ
沖縄の主な伝統料理と基本の作り方
沖縄には本土にはないたくさんの伝統料理があります。各家庭によって味付けや材料がやや異なることもありますが、今回は基本の作り方をご紹介します。
基本の作り方にあわせて作るのもよし、自宅にある食材を使ってアレンジしてみるのもよし! ぜひ沖縄の伝統料理にチャレンジしてみてくださいね。
イナムドゥチ
イナムドゥチは白味噌で仕立てた、ややこってり系の汁物です。使用する材料がもとは高級食材だったこともあり、お祝い料理として知られています。一般的には「イナムドゥチ」と呼ばれますが、「イナムルチ」と呼ぶ地域もあります。
材料(5人分) | ・出汁(鰹・豚):5カップ ・茹でた三枚肉:100g ・こんにゃく:200g ・干し椎茸:3枚 ・厚揚げ:120g(薄揚げなら2〜3枚) ・カステラかまぼこ:100g ・白味噌:100〜130g |
作り方 | 1. 茹でた三枚肉を短冊状に切る 2. 水に戻した干し椎茸の石づきを取って薄切りにする 3. こんにゃくを短冊状に切って茹でる 4. 厚揚げの油抜きをして短冊状に切る 5. カステラかまぼこを短冊状に切る 6. 鍋に出汁を入れて豚肉と椎茸を加えて煮立てる 7. 鍋にこんにゃくと厚揚げを加えて煮立てる 8. 鍋にカステラかまぼこと白味噌を加えて好みの濃さに仕上げる |
中身汁
中身汁は豚の中身(大腸や小腸など)を具にした澄まし汁です。お正月やお盆の料理として、昔からうちなーんちゅに親しまれています。
以下でご紹介する具材は中身と椎茸のみですが、家庭によってはかまぼこやこんにゃくなどを入れることがあります。
材料(5人分) | ・出汁(鰹・豚):5カップ ・中身:300g ・椎茸:3〜4枚 ・醤油:少々 ・小麦粉:適量 ・塩:小さじ1と1/2 ・油:大さじ5 ・おろし生姜:少々 |
作り方 | 1. 中身をたっぷりの小麦粉でもみ洗いをして臭みを取る(2〜3回繰り返す) 2. 油を入れた鍋を熱して中身を炒めて湯洗いをする 3. 別の鍋に湯洗いをした中身とお水を入れて煮立たせて、茹で汁が濁ったらこぼして洗う(中身が柔らかくなるまで繰り返す) 4. 柔らかくなった中身を食べやすい大きさに切ってさらに茹でる 5. 水に戻した椎茸を中身と同じ大きさに薄切りにする 6. 鍋に出汁・中身・椎茸・塩・醤油を入れて弱火で10分ほど煮る 7. お椀に入れておろし生姜を入れる |
ジューシー
豚肉や野菜を具にした沖縄風炊き込みご飯です。お正月やお盆に食べる家庭が多いでしょう。
なお、冬至に食べるジューシーは「トゥンジージューシー」と呼びます。
材料(5人分) | ・お米:3カップ ・出汁(鰹・豚):3.5カップ ・三枚肉:100g ・干し椎茸:4枚 ・人参:50g ・かまぼこ:50g ・醤油:小さじ2 ・塩:小さじ2 ・油:小さじ2 ・青ネギ:15g |
作り方 | 1. 三枚肉は水から茹でて冷ましておく 2. お米を洗ってザルにあげておく 3. 三枚肉・水で戻しておいた干し椎茸・人参・かまぼこを小さな角切りにする 4. 鍋に洗ったお米と出汁、切った三枚肉・干し椎茸・人参・かまぼこ、塩、醤油、油を入れて炊く 5. 炊き上がったら青ネギを混ぜる |
ラフテー
ラフテーは三枚肉の角煮です。家庭によっては味噌で仕上げることもありますが、今回は醤油ベースの角煮の作り方をご紹介します。
材料(5人分) | ・豚の三枚肉:600g ・鰹出汁:4カップ ・醤油:1/2カップ ・砂糖:100g ・泡盛:3/4カップ ・生姜5g |
作り方 | 1. 豚の三枚肉を丸ごと50分ほど茹でて余分な油を取る 2. 茹でた三枚肉を3cm角に切る 3. 鍋に出汁・砂糖・泡盛を入れて煮立ったら三枚肉を入れて再び煮立たせる 4. 醤油を2回に分けて加えて弱火で柔らかくなるまでじっくり煮込む 5. 器に盛り付けて煮汁をかけたら生姜を添える |
ターンム田楽
ターンム(田芋)田楽は沖縄風きんとんのことです。田芋を甘く柔らかく仕上げていて、お祝い料理として親しまれています。
材料(5人分) | ・田芋:350g ・砂糖:100g ・水:1カップ ・みりん:大さじ3 ・塩:ひとつまみ |
作り方 | 1. 田芋の皮を向いて2cm角に切り、たっぷりのお湯で茹でてザルにあげておく 2. 分量の水を煮立たせて茹でた田芋を入れる 3. 田芋が柔らかくなったら砂糖とみりんを加えて、焦げ付かないように弱火でゆっくり煮る 4. 田芋が半分ほど潰れてツヤが出てきたら、ひとつまみの塩を加えて混ぜる 5. 塩が全体に馴染んだら完成 |
クーブイリチー
クーブイリチーは千切りの昆布をほかの具材と一緒に煮込んだ料理です。お祝いに欠かせない料理として知られていますが、近年では家庭料理としても食べられています。
材料(5人分) | ・刻み昆布:80g ・三枚肉:200g ・こんにゃく:80g ・かまぼこ:50g ・鰹出汁:3〜4カップ ・醤油大さじ:3〜4 ・砂糖大さじ:2〜3 ・お酒:1/3カップ ・油:適量 |
作り方 | 1. 刻み昆布を洗って水で戻しておく 2. 三枚肉を50分ほど茹でて短冊切りにする 3. こんにゃくを細めの短冊切りに切って水から茹でておく 4. 油を熱した鍋に醤油を入れて軽く焼き、砂糖を加えて煮立たせたら三枚肉を加えて馴染ませて取り出しておく 5. 残った煮汁に少しの油と昆布を入れて炒めて、出汁を少し加えて煮込む 6. 煮汁が減ってきたら出汁を数回に分けて加えながら昆布が柔らかくなるまで煮込む 7. 三枚肉とこんにゃくを入れてさらに煮込む 8. 仕上げの前にかまぼこを入れて味を馴染ませる |
ちんびん
ちんびんは黒砂糖味のクレープのような甘いおやつです。主にユッカヌヒー(旧暦5月4日)に家庭で作られます。薄く焼いた生地をくるくる巻いて仕上げる形から「ポーポー」と混同されがちですが、味はまったく異なります。
材料(5人分) | ・小麦粉:150g ・ベーキングパウダー:小さじ1 ・粉黒糖:100g ・水:1カップ ・油:少々 |
作り方 | 1. 粉黒糖と水を合わせてよく混ぜておく 2. ふるった小麦粉とベーキングパウダーに、粉黒糖と水を合わせた液体を加えてダマにならないように混ぜる 3. 熱したフライパンに油を引いて、生地を薄く流し入れる 4. 表面にぶつぶつと穴ができたら裏返して焼き、手前からくるくると巻く |
ポーポー
ポーポーは小麦粉でできた生地を薄く焼き、油味噌を入れてくるくる巻いたものです。ちんびんと同じおやつ感覚で食べますが、油味噌味の大人向けおやつとなっています。
材料(5人分) | ・小麦粉:1カップ ・ベーキングパウダー:小さじ½ ・水:1カップ ・サラダ油:小さじ1 ・油味噌:適量 |
作り方 | 1. ふるった小麦粉とベーキングパウダーに水を加えてしっかりと混ぜておく 2. 小麦粉とベーキングパウダー、水を入れた生地にサラダ油を入れて混ぜる 3. サラダ油を入れて熱したフライパンに、生地を薄く流し込む 4. 生地が焼けてフチ部分がフライパンから離れてきたら裏返してさらに焼く 5. 焼き上がった生地に油味噌を棒状に乗せて、くるくると巻いたら完成 |
サーターアンダギー
サーターアンダギーは沖縄風ドーナツです。もともとは沖縄の伝統行事の際に食べられていましたが、最近では紅芋やかぼちゃなどほかの食材と組み合わせたサーターアンダギーが登場していて、沖縄土産や子どものおやつとして広く親しまれています。
材料(15個分) | ・小麦粉:500g ・ベーキングパウダー:小さじ2 ・卵(Mサイズ):4個 ・砂糖:300g ・油:大さじ2 ・塩:小さじ1 ・揚げ油:適量 |
作り方 | 1. 小麦粉とベーキングパウダーをふるいにかけておく 2. ボウルに砂糖と卵を入れて泡が立たないようによく混ぜ合わせる 3. サラダ油を加えてサッと混ぜる 4. ふるった小麦粉とベーキングパウダーを入れて軽く混ぜたら、ラップをして30分ほど冷蔵庫で寝かせる 5. 鍋に揚げ油を入れて170度に熱しておく 6. 手に軽く小麦粉をつけて冷蔵庫で寝かせておいた生地を直径3〜5cmほどのだんご状に丸める 7. だんご状に丸めた生地を油に入れて回転させながら割れ目ができるまで待つ 8. 割れ目ができてきつね色に上がったら油からあげる |
家庭で沖縄の伝統料理を作って食べてみよう!
一言で「沖縄の伝統料理」といっても、小さいころから日常的に食卓に並んでいた料理から、行事の日にしか食べない特別な料理までさまざまです。なかには作るのにかなりの手間がかかる料理もあり、家庭で作るにはハードルが高いと感じる方もいるでしょう。
しかし、家庭で沖縄の伝統料理を作って食べるということは、沖縄の歴史を学ぶことにもつながります。沖縄の歴史を学びながら食育をする一貫として、ぜひ親子で沖縄の伝統料理にチャレンジしてみてくださいね。
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