沖縄の伝統行事「清明祭(シーミー)」とは?お供物や流れを知っておこう

清明祭(シーミー)

沖縄の伝統的な行事の中でもとくに大きなイベントが「清明祭(シーミー)」です。
親族が集まり一緒にご飯を食べて楽しむ行事のため、「毎年楽しみにしている」というママ・パパもいるのではないでしょうか?

ご先祖さまを敬い親族と楽しく過ごすためにも、今年の清明祭(シーミー)を迎える前に、改めて清明祭(シーミー)について学んでおくとよいかもしれません。そうすることで、いざお子さんに「清明祭(シーミー)って何をするの?」と聞かれたときにもしっかりと答えてあげることができますよ。

今回は清明祭(シーミー)に必要なものや流れ、沖縄のお墓の特徴などをご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

清明祭(シーミー)とは?

清明祭(シーミー)とは、親族が集まってお墓参りをして、ご先祖さまと一緒にご飯を食べる沖縄特有の伝統行事です。親族で楽しい時間を過ごせることから、毎年清明祭(シーミー)を楽しみにしているという方もいますよね。

もともと清明祭(シーミー)は、二十四節気のひとつである清明の節気に中国で行われていたお祭りで、その起源は1768年にまで遡るといわれています。
中国からの移住者の子孫が多く住んでいた那覇市久米あたりでは昔から行われており、その文化が沖縄本島南部を中心に広まっていきました。現在でも清明祭(シーミー)を行うのは沖縄のなかでも中南部が中心となっており、沖縄本島北部地域や宮古島・石垣島ではあまり行わないそうです。

そんな清明祭(シーミー)は、「この日に行うもの」という決まりがありません。というのも、沖縄の行事は旧暦で行われることが多く、そのほとんどで日付が決まっていますが、清明祭(シーミー)にいたっては旧暦の3月から5月のゴールデンウィークごろまでの週末に行われるのが一般的です。そのため、毎年この時期になるとお墓が集まる場所では「シーミー渋滞」が発生します。

清明祭(シーミー)のお供物・準備するもの

清明祭(シーミー)

清明祭(シーミー)では、さまざまなお供物をするのが一般的です。各家庭によって準備するお供物が異なる場合もありますが、一般的には以下のものを準備します。

重箱料理

沖縄の伝統行事に欠かせないのが重箱料理です。
清明祭(シーミー)の重箱は4段になっており、かまぼこや豚肉、昆布、魚の天ぷらなどのおかず(ウサンミ)が2段、お餅が2段となっています。どちらも入れる品数や個数は奇数という決まりがあるので、準備する際は数に注意しましょう。

近年は重箱にはお餅だけを入れて、ウサンミはオードブルにする家庭も増えてきているようです。さらに、ウサンミの品もエビフライやチキンなど、現代の人の嗜好に合わせて変わってきています。

果物

果物は盛り合わせで準備します。定番の果物は、バナナやりんご、オレンジなどです。バナナには父親、りんごには母親、オレンジには子孫繁栄という意味があるといわれています。
果物の盛り合わせは左右が対になるように2つ準備しましょう。

お菓子

お菓子も盛り合わせで準備します。清明祭(シーミー)はお祝いなので、色がついた華やかなお菓子を選びましょう。また、お菓子の盛り合わせも左右が対になるように2つ準備してください。

ウチカビ・ヒラウコー・シルカビ

ウチカビはご先祖さまがあの世で使うお金、ヒラウコーは平たい形をした沖縄の線香、シルカビは線香の下に敷く紙のことです。すべてスーパーで手に入ります。

ちなみに、ウチカビは家長が5枚、そのほかは1人あたり3枚で計算するそうです。

カビバーチ

ウチカビを焚くときに使う金属ボウルのことです。カビバーチを忘れるとウチカビを焚くことができず、ご先祖さまにお金を送ることができないため、忘れないように持参しましょう。

なお、カビバーチはスーパーやホームセンターなどで購入できます。

お花

お花も左右が対になるよう2つ準備します。とくにお花の種類の決まりはないため、故人が好きだったお花を飾るのもよいでしょう。

基本のお供物

基本のお供物はミジトゥ(お水)・ウチャトゥ(お茶)・ウサク(お酒)の3つです。ガラスや陶器を使っている家庭が多いので、運搬中に破損しないよう気をつけましょう。

清明祭(シーミー)の流れ

準備を終えたら、いよいよ清明祭(シーミー)の始まりです。以下では基本的な清明祭(シーミー)の流れをご紹介します。

1.ヒヌカン(火の神)・仏壇への拝み

沖縄では、行事のある日にはまずヒヌカンへ拝みをして報告を行う習慣があります。
清明祭(シーミー)のためにお墓参りへ出かける日の朝には、「今日はお墓参りに行ってきます」という報告をしましょう。そのあと、仏壇へお墓参りの報告を行います。

2.お墓の掃除

お墓についたら、まずはお墓を守ってくれている土地の神様がいる「ヒジャイヌカミ」(お墓の左側)に向かって挨拶をして掃除を開始します。門中墓の場合は、朝に女性がウサンミ(重箱料理などのお供物)を用意している間に、男性が先にお墓へ出向いて掃除を行うこともあるようです。
家族墓の場合はみんなでウサンミを用意して、みんなでお墓掃除をするのもよいでしょう。

3.ヒジャイヌガミへの拝み

掃除が済んだら、再度ヒジャイヌカミへ拝みを行います。このとき、ウサンミやシルカビ、ヒラウコーをお供えして、日頃から守ってもらっていることへの感謝を伝えましょう。
拝みを終えたらシルカビを燃やして火を消し、ウサンミから何品かをお皿に取り分けてお供えしてください。しばらくしたらウサンミは下げます。

4.墓前への拝み

墓前に拝む前にお供物を並べます。このとき、ヒジャイヌガミへお供えして抜けた部分は補充しておきましょう。拝みを終えたらウチカビを焚いて、ウサンミから何品かを取り分けてお供えします。

5.ウサンデー

墓前へお供えした料理の残りを親族でいただくウサンデーを始めます。ご先祖さまも一緒にご飯を食べて楽しむという意味合いがあるので、家族で楽しく過ごしましょう。
ご先祖さまと一緒にお酒を飲んだりお子さんの成長を報告したりするだけでなく、三線を弾いて歌ったり踊ったりするのもよいかもしれません。

上記でご紹介した清明祭(シーミー)の流れはあくまでも一例です。各家庭によって流れが異なる場合もあるので、参考程度に留めておきましょう。

清明祭(シーミー)に行くと気になる沖縄のお墓の特徴

清明祭(シーミー)

沖縄のお墓はちょっとした家のようになっていて、本土のお墓とは形も大きさもまったく異なります。

本土のお墓は小さめの土地に高さ約150cmほどの墓石が立っているのが主流なのに対して、沖縄のお墓は広い土地に高さ約2mほどのお墓が立っています。そのほとんどが屋根付きで、まるで家のような造りをしているのが特徴です。
さらに、沖縄のお墓には遺骨を入れるための穴が空いていて、その穴を塞いでいる石の前には焼香台があります。お墓本体の前には清明祭(シーミー)を行うためのちょっとしたお庭のような広場があるのも、沖縄のお墓ならではの特徴といえるでしょう。

このほか、沖縄には「亀甲墓(きっこうばか)」と「波風墓(はふうばか)」の主に2つのお墓があります。亀甲墓は亀の甲羅のような形になっているお墓で、波風墓は昔ながらの「波風屋根」の形になっているお墓です。どちらも先述したとおり屋根がついていて、家の敷地を囲うかのように塀もあります。
なかでも大きなお墓が多い亀甲墓は、女性の子宮の形をかたどった形といわれています。その理由は、亡くなったあとは母の胎内に戻ると考えられているからです。

沖縄では親族一同が入る門中墓(むんちゅうばか)も盛んです。
そもそも門中とは、父方の親族のことを指しています。つまり、父方の血が入っている人のことを指すため、基本的にお嫁さんや婿養子、養子などは含まれません。しかし、各家庭によって門中に入れるか否かの判断が異なるため、一概に「この人は門中には入れる・入れない」とはいえません。

沖縄の伝統行事である清明祭(シーミー)を楽しく過ごすために!

清明祭(シーミー)は沖縄の伝統行事のひとつです。重箱料理などのウサンミの準備に時間はかかるものの、いざ始まれば親族みんなで楽しい時間を過ごすことができます。
ママ・パパだけでなく、おじいちゃん・おばあちゃんやたくさんの親戚、ご先祖さまと一緒に過ごす時間は、お子さんにとってかけがえのないひとときになるでしょう。ぜひ今回の内容を参考にして、楽しい清明祭(シーミー)を過ごしてくださいね。

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さえこ

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