ひとり親家庭の自立をサポートする「ひとり親家庭等日常生活支援事業」は、仕事や家庭の都合により一時的に子どもを見る人がおらず困っている、ひとり親家庭のママ・パパをサポートする行政支援制度です。
前回はひとり親家庭等日常生活支援事業を利用したいママ・パパ向けの内容をご紹介しましたが、今回はひとり親家庭等日常生活支援事業でヘルパーとして働きたいと考えている方へ向けて、仕事内容をご紹介するとともに、気になる疑問にも回答いたします。
実際にヘルパーとして働いている方の声もご紹介しているので、「子育て世代のサポートをしたい!」「空いた時間を有効活用したい!」「子育てがひと段落したけどもっと子どもと関わりたい!」という方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
もくじ
ひとり親家庭等日常生活支援事業のヘルパーってどんなことをするの?
先述した通り、ひとり親家庭等日常生活支援事業とは「仕事や家庭の都合により一時的に子どもを見る人がおらず困っている、ひとり親家庭のママ・パパをサポートする行政支援制度」です。利用できるのはひとり親家庭のママ・パパ、寡婦家庭となっています。
そんなひとり親家庭等日常生活支援事業の支援内容は、「子育て支援」と「日常生活支援」の2つ。
子育て支援ではママ・パパの代わりとなってお子さんのお世話を行い、日常生活支援では寡婦の方を対象に身の回りのお世話や食事の支度などを行います。
具体的な依頼内容は依頼者(ママ・パパ)によって異なるため一概にはいえませんが、たとえばひとり親家庭のママ・パパから「早出で子どもを学校へ送り出せないため代わりに自宅にいてほしい」という依頼があれば、ママ・パパが仕事へ出かける前に自宅へ出向いて朝食の準備や子どもの支度の準備、送り出しなどを行います。
「残業なので代わりにお迎えをして子どもの面倒を見ていてほしい」という依頼があれば、ママ・パパの代わりに保育園などへお迎えに行き、帰宅後は夕食の準備やお風呂、宿題のチェック、寝かしつけなどを行います。
また、場合によっては泊まりがけの依頼があることも。ただし、泊まりがけの対応は事前にヘルパーへお知らせされますし、その依頼を受けるか受けないかもヘルパーさんに委ねられています。もちろん、今回断ったからといって次回から依頼が来なくなるなどの対応もないので、安心して働くことができますよ!
ヘルパーって仕事?ボランティア?
「ヘルパーの仕事はボランティア?」と思われがちですが、じつはれっきとした仕事なんです!
具体的な仕事内容や勤務時間、勤務地などは依頼者であるひとり親家庭のママ・パパの都合により異なりますが、ヘルパーとして働いている時間は時給が発生します。なお、お給料は月毎に支払われる仕組みです。
現在ヘルパーとして活躍している方の中には、月に3〜4回ほどお仕事を受けている方もいます。「月に3〜4回って少ないんじゃ……」と思われがちですが、そもそも依頼件数がそれほど多いわけではありません。その理由は、ひとり親家庭等日常生活支援事業の利用回数が、1家庭あたり年24回と決まっているからです。そのため、本職をしながら副業としてヘルパーをやっている方が多い傾向にあります。
副業としてヘルパーを行う場合、ときには「本業の都合がつかない……」ということもあるでしょう。その際は、無理に依頼を受ける必要はありません。
自分の予定がない日時に依頼があれば受けてひとり親家庭をサポートできるのが、ひとり親家庭等日常生活支援事業のヘルパーとして働く魅力です!
ひとり親家庭等日常生活支援事業のヘルパーになるには?
ひとり親家庭等日常生活支援事業のヘルパーになるためには、以下でご紹介する資格を取得しているか、一定の研修を修了していなければいけません。
ヘルパーに必要な資格や研修は以下の通りです。
【保有資格】
・保育士
・介護士
・看護師
・介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級) など
【研修】
・子育て支援に関する一定の研修、またはこれと同等の研修
保有資格や修了した研修によって対応できる支援内容は異なりますが、子育てが終わって子どもと関わる機会が減ってしまった方、子どもが好きな方、沖縄のママ・パパを応援したいと考えている方にぴったりのお仕事ですよね!
もし、上記でご紹介した以外の資格をお持ちでヘルパーに興味のある方は、一度沖縄県母子寡婦福祉連合会までお問い合わせください。
研修から勤務終了までの流れ
ヘルパー研修受講から依頼を受けたあとの対応までの流れは、以下のとおりです。
1.ヘルパー研修受講 2.ヘルパー登録 3.お仕事依頼(LINEで届く) 4.返信(受けられる場合) 5.決定 6.ママ・パパと連絡先交換(お電話にて依頼内容や留意点の確認) 7.当日に依頼者宅またはヘルパー宅でお仕事 8.保護者へ引き渡し 9.支援日誌を提出 |
ひとり親家庭等日常生活支援事業のヘルパーさんの声
では実際に、どのような方がどのようにヘルパーとして働いているのでしょうか?
ヘルパーになったきっかけややりがいなどを聞いたので、ご参考にしてみてください。
Aさん
ヘルパーになったきっかけ | ひとり親家庭等日常生活支援事業の講習を受けたこと |
持っている資格 | ・社会福祉主事任用資格 ・美容師免許 |
働き方(本業との両立方法) | 仕事が休みの日や時間がある日にヘルパーとして働いている |
過去の支援内容 | 【時間】6:00〜18:00 【内容】7歳の子どもひとりお預かり。朝待ち合わせ場所へ迎えに行き、18:00に仕事が終わったママのところへ送る。 |
大変なことや気をつけていること | 預かり時間が長いと子どもが退屈しがちなので、遊び道具を揃えている また、危険がないように目を離さないようにしている |
やりがい | ひとり親で仕事や子育てを頑張っているお母さんたちに、安心して預けてもらいたい |
Bさん
ヘルパーになったきっかけ | 自分自身は近くに家族がいたため預け先に困ることはなかったが、時間内にお迎えに行けず子どもに寂しい思いをさせたことはあった。そんなお母さんたちの不安や子どもの不安を少しでも取り除きたい、小さくても自分にできるサポートがしたいと思ったから |
持っている資格 | ・ひとり親家庭等日常生活支援員 ・介護職員初任者研修 |
働き方(本業との両立方法) | 自分の体調を考慮しながら、本業に差し支えない程度に働いている。 |
過去の支援内容 | ● ケース1 【時間】8:00〜18:30 【内容】2歳と4歳の子どものお預かり ● ケース2 【時間】12:00〜14:00 【内容】4歳の子どものお預かり |
大変なことや気をつけていること | 子どもの体調やアレルギーの有無、お昼寝の時間を必ず確認している 支援後には1日の様子や気になったことなどを報告している |
やりがい | 子どもが好きなのはもちろんですが、利用者であるママ・パパのサポートができて嬉しい |
Cさん
ヘルパーになったきっかけ | 利用の申し込みがあっても、対応できる支援員がいない場合は断っているということを知ったから |
持っている資格 | ・保育士 ・介護職員初任者研修 ・上級心理カウンセラー ・ひとり親家庭等日常生活支援員 |
働き方(本業との両立方法) | 土日祝祭日や平日の仕事の時間外など 支援員が見つからないときは本業を休んで対応することもある |
過去の支援内容 | ● ケース1 【内容】7歳の子どもの送迎や食事見守り、遊びの見守りなど ● ケース2 【内容】2歳と3歳の子ども。遊びの見守り、食事の準備・見守り・片付けなど |
大変なことや気をつけていること | ・安全面や体調、アレルギーの有無を確認している ・送迎用にジュニアシートとチャイルドシートを準備している ・子どもたちが楽しく過ごせるように好きなおもちゃを持ってきてもらったり、工作ができるよう材料を準備している ・預かり時の様子を伝える |
やりがい | 利用者の役に立てること |
ひとり親家庭等日常生活支援事業のヘルパー講座
2023年度(令和5年度)に行われた、ひとり親家庭等日常生活支援事業の講座スケジュールと内容は以下の通りです。2024年度(令和6年度)の研修日程はまだ未定ですが、研修に申し込むかを迷っているという方はぜひご参考にしてみてください。
時間 | 研修内容 | |
1日目 | 8:30〜16:00 | ・開校式 / オリエンテーション ・児童の発達と遊び(乳幼児期の発達) ・健康管理と緊急対応(児童の成長と食生活) |
2日目 | 9:00〜16:00 | ・保育所の見学実習 ・健康管理と緊急対応(緊急時の対応と応急処置) |
3日目 | 9:00〜16:00 | ・健康管理と緊急対応(児童の病気) ・児童の発達と遊び(学童期の発達) |
4日目 | 9:00〜16:00 | ・児童の発達と遊び(児童にとっての遊び) ・子育て支援の状況(現代の子育て事業・生活支援の心得) |
5日目 | 9:00〜12:30 | ・子育て支援の状況(研修全体のまとめ) ・閉講式(修了証書授与) |
ひとり親家庭等日常生活支援事業のヘルパーに関するよくある質問
以下では、ひとり親家庭等日常生活支援事業のヘルパーに関するよくある質問とその回答をご紹介します。「ヘルパーに興味はあるけれど自分にできるか不安で迷っている……」という方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
Q1.仕事や子育てをしながらでもヘルパーとして働ける?
仕事や子育てをしながらでもヘルパーとして働くことはできます。実際に、現在ヘルパーとして働いている方のなかには、ほかのお仕事をしながら空いた時間にヘルパーの仕事を引き受けている方も多いんです。平日は本業をして、土日にヘルパーの仕事を引き受けるということもできるので、空いた時間に働きたいという方におすすめです。
Q2.ヘルパーとしてキャリアアップはできる?
残念ながらひとり親家庭等日常生活支援事業のヘルパーとしてキャリアアップの道はありません。
しかし、本職として子どもと関わる仕事をされている場合、ひとり親家庭等日常生活支援事業のヘルパー研修を受けた経験が本職の昇給に影響することもあるようです。
Q3.最初は先輩ヘルパーがついてくれるの?
最初の依頼からひとりで仕事を受けることになります。ヘルパーと依頼者の顔合わせなどは行っていないので、支援当日までに依頼者であるママやパパとお電話でしっかりとやり取りをしてください。回数を重ねて徐々に慣れていきましょう。
Q4.ヘルパーはボランティア?
先述した通り、ヘルパーはれっきとしたお仕事です。勤務地や勤務時間などはどうしても不規則になってしまいますが、ヘルパーとして働いた時間はちゃんと時給が発生します。
Q5.万が一のために、保険って入れますか?
もちろん、ヘルパーに加入していただく保険もあります。
どれだけ気を遣って子どもを見ていても、予測できない事故や怪我があるかもしれません。そんなときにヘルパーさんを守る保険があるので、安心して働くことができますよ。
ひとり親家庭等日常生活支援事業のヘルパーを目指してみませんか?
ひとり親家庭等日常生活支援事業のヘルパーは、子育て経験を活かして働くことができます。もちろん、研修を受ければ子育て経験がなくてもヘルパーになることはできますが、子育てがひと段落した世代は即戦力になること間違いありません!
お子さんが手を離れて時間ができた方や人の役に立ちたい方、子どもと触れ合いたいと考えている方が、ひとり親家庭等日常生活支援事業のヘルパーとしての働き方に興味を持っていただけるとうれしいです。
お問い合わせ先 | 沖縄県母子寡婦福祉連合会 |
電話番号 | 098-887-4099 |
あんまーるでは、沖縄で子育てをしているママとパパの声を大切にしています。
「こんな情報があるとうれしいな」「これについてもっと詳しく知りたい」という意見があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください! 皆さまの率直な声を心よりお待ちしております。
ご意見・ご感想はこちらから