慰霊の日とは?子どもにどう伝える?家族で平和について考えよう

慰霊の日

6月23日は「慰霊(いれい)の日」。毎年、多くの沖縄県民がこの日に戦争の悲惨さを振り返り、平和を願っています。

誰であっても平和を願っていますが、やはり沖縄に住んでいる以上、こうした沖縄ならではの風習や戦争の恐ろしさは我が子にも伝えたいものです。しかし、具体的にどう伝えればよいのかわからず、困っている方もいるのではないでしょうか?

そこで今回は、慰霊の日の概要とともに、子どもへの戦争や慰霊の日の伝え方をご提案します。
戦争は決して他人事ではありません。慰霊の日を迎えるこのタイミングに、家族で平和について考えてみましょう。

慰霊の日とは? – 戦没者を追悼し平和を祈る日

慰霊の日とは、沖縄戦の戦没者の霊を慰め、世界の平和を祈る日です。

沖縄戦は、太平洋戦争の末期である1945年に勃発した地上戦です。日米両軍と民間人、あわせて約20万人の尊い命が犠牲となりました。
沖縄戦が終結したとされているのは、1945年6月23日のこと。この日に第32軍の牛島司令官と長参謀長が自決したことにより、組織的な戦闘が終わったといわれています。

この背景から、沖縄県は1945年6月23日を尊び、毎年6月23日を条例で「慰霊の日」と定めました。

慰霊の日は「戦没者を追悼し平和を祈る日」として県内に浸透し、毎年同日の正午には多くの県民が黙祷をし、平和への祈りを捧げています。

参照:沖縄戦の概要|内閣府
   「慰霊の日」のはじまり|沖縄県公文書館

ぜひご参考に!小さい子どもへの戦争や慰霊の日の伝え方

慰霊の日

慰霊の日を目前に迎えた今だからこそ、家族で平和について考えることはとても大切です。しかし、ママ・パパの中には「戦争や慰霊の日について、子どもにどう伝えればよいのかわからない」と悩んでいる方もいるでしょう。

そこで以下で、幼児へ戦争や慰霊の日について伝える際の具体例をご提案します。子どもがまだ小さい場合は、わかりやすい言葉で説明したり、絵やイラストを交えて伝えたりするのがおすすめです。

大筋をわかりやすい言葉で伝える

子どもと平和について考える目的は、子どもに「戦争はとても恐ろしく悲しいもの」と理解してもらうと同時に、平和を願い守る気持ちを持ってもらうことであることがほとんどでしょう。
とはいえ、子どもがまだ小さい場合は、戦争や慰霊の日がどういうものなのか具体的に説明しても、簡単に理解できるかといわれればなかなか難しいものです。大人でさえ全員が正確に理解できているとは言い難いのだから、子どもならなおさらですよね。

そのため、幼児のお子さんに対しては「大筋をわかりやすい言葉で伝える」のがおすすめです。以下は伝え方の一例ですので、参考になりそうなフレーズがあればぜひ。

戦争とは・国と国が喧嘩をして、みんなが悲しい思いをすることだよ
・バンバン(銃を撃つ音)で人が怪我をしたり、大好きな人に会えなくなったりしてしまうことだよ
・好きなものを食べたり、お勉強をしたりすることができなくなることだよ
慰霊の日とは・たくさんの人が悲しい思いをしたことを忘れないよう、平和を祈る日だよ
・国と国がもう喧嘩しないように願う日だよ

小さな子どもにとってわかりやすい言葉を選ぶことで、戦争の悲惨さや慰霊の日の大切さが伝わりやすくなります。

絵本を読み聞かせて伝える

戦争や平和を題材にした絵本を読み聞かせてあげるのも一案です。「戦争とはどういうものか」「戦争が起こるとどうなるのか」などを言葉とイラストで伝えられるので、小さなお子さんにも理解してもらいやすいでしょう。

へいわってすてきだね

2013年に沖縄県「平和の詩」にて最優秀賞を受賞した少年の詩を題材とした絵本です。「平和とはどういうことか」をお子さんと一緒に考えることができます。

ぼくがラーメンたべてるとき

自分と同じ時代を生きる子どもたちは、今何をしているのか? 遊んでる? 働いてる? 倒れてる? 自分の周りに目を向けるきっかけを生み出せる絵本です。

なぜ戦争はよくないか

深みがあるものの子どもでもわかる文章と力強いイラストで、戦争の恐ろしさを伝える絵本です。わたしたちが大切にしなければならないことを、あらためて理解できます。

絵本を読み聞かせたあとは、子どもに「戦争を起こさないためにはどうすればいいかな?」と聞いてみるのもおすすめです。子どもならではの視点で平和について考えてもらうことで、「お友だちと仲良くする」「もし喧嘩してもすぐ仲直りする」などの今できることも同時に伝えられます。

人形劇で伝える

言葉だけで伝えるのが難しい上に絵本が手元にない場合は、人形やぬいぐるみを使い、劇をするようなイメージで戦争について伝えるのもおすすめです。絵本同様、ストーリー性をもたせて戦争の悲惨さを伝えられるので、「戦争は恐ろしく悲しいもの」ということをわかってもらいやすいでしょう。

このとき、お子さんのお気に入りの人形やぬいぐるみは使わないことをおすすめします。なぜなら、大好きだった人形やぬいぐるみに「怖い」という印象を持ってしまい、場合によっては見るだけで泣いてしまう可能性があるからです……。
お子さんの楽しみを奪ってしまわないためにも、人形劇で平和教育をする際はあまり遊ばれていない人形やぬいぐるみを使うようにしましょう。

【+α】ヒーローに憧れている子どもの場合

小さなお子さんの場合、アニメの影響でヒーローに憧れていることもあるでしょう。

戦争について話したい際に、子どもが「ぼくが(わたしが)ヒーローになってやっつける!」ということもあるかもしれませんが、そのときは「ヒーローでも戦っちゃだめなんだよ」としっかり伝えることが大切です。「戦うんじゃなくて話し合いができるといいね」と代替案を出して、より平和的な解決が期待できる方向へと導いてあげましょう。

とはいえ、子どもたちが好きなアニメやドラマ、漫画、ゲームなどには「戦う」シーンがたくさん出てきます。「戦うことはいけないこと」だけを強調しすぎてしまうと「そのアニメ(ドラマ、漫画、ゲームなど)はよくない」と感じてしまい、学校などでお友達とトラブルになってしまう可能性もあります。そうならないためにも、現実とアニメやドラマ、漫画、ゲームなどは違うというところまで伝えられると、なおよいですね。

小学生の子どもには戦争や慰霊の日について考える機会を提供しよう

慰霊の日

小学生の子どもには上述した方法で戦争や慰霊の日について伝えながら、平和について考える機会を提供するのがおすすめです。 親として平和教育をしつつ、子ども自ら平和について考えることで、これまで以上に「戦争はいけないこと」と感じてもらえるでしょう。

平和の大切さを感じられる施設へ行く

平和について考えるには、戦争や平和にまつわる施設に行くという手段もあります。沖縄県内にはそういった施設が多数ありますので、お出かけのついでに訪れてみては。
ただし、子どもたちを必要以上に怖がらせることはよくないため、あえて重すぎない雰囲気で、あくまで事実を事実として伝えつつ「戦争はよくない、誰も幸せにならない」ということを知ってもらう機会とするとよいでしょう。

慰霊の日

平和祈念公園

平和祈念公園は、沖縄戦終焉の地・糸満市摩文仁にある県営施設です。施設内には沖縄戦の写真や遺品が展示された「平和祈念資料館」があり、ここでは沖縄戦の実相を目の当たりにできます。
「戦争はどれほど恐ろしいものなのか」「戦時中、人々はどのような暮らしをしていたのか」などを知ることができるため、子どもの戦争への理解を深められると同時に、平和の尊さを体感してもらえるでしょう。

そして平和祈念公園には、国籍や軍人・民間人を問わず、沖縄戦の全戦没者の氏名を刻んだ記念碑「平和の礎」もあります。多くの人が犠牲になったことが一目でわかるその光景に、お子さんもきっと「戦争を繰り返してはいけない」という気持ちになるはずです。

参照:沖縄県営平和祈念公園

対馬丸記念館

対馬丸記念館は、那覇市若狭にある施設です。対馬丸事件(※)の犠牲者の鎮魂と、子どもたちに平和と命の尊さを教えることを目的として、対馬丸撃沈から60年目に開館しました。

対馬丸記念館には、対馬丸の出航から撃沈までの経緯、そして犠牲者の名前・遺影などが展示されています。展示物を見て回るだけでも、お子さんに戦争がどれほど忌まわしいか伝わるはずです。対馬丸事件について正しく後世へ伝える、という意味でも、ぜひ足を運んでみてください。

参照:対馬丸記念館

ひめゆり平和祈念資料館

ひめゆり平和祈念資料館は、糸満市伊原にある施設です。戦争の恐ろしさや平和の尊さを後世に語り継ぐため、1989年6月23日に開館しました。
「ひめゆり」の愛称で親しまれていた沖縄師範学校女子部と県立第一高等女学校が次第に軍事化する様子から、解散命令により生徒たちが戦場に放り出される様子まで、さまざまな忌まわしい記録が展示・映像で公開されています。

自分とほぼ同年代の子どもが犠牲になった事実は、もしかするとお子さんには刺激が強いかもしれません。しかし、その事実から目を背けず、二度と同じことが起きないよう祈ることも平和教育の一環です。無理のない範囲でひめゆり平和祈念資料館を見学し、平和への祈りを捧げましょう。

参照:ひめゆり平和祈念資料館

旧海軍司令部壕

旧海軍司令部壕は、豊見城市豊見城にある施設です。旧日本海軍によって掘られた壕が当時のまま残っていることから、沖縄戦を語る貴重な戦跡として知られています。

このほか「ビジターセンター内資料館」も併設しており、ここには戦争当時に壕内で発見された遺品など、戦争関連の資料が多数展示されています。
当時実際に使われていた壕の見学は、とても貴重な経験になるはず。平和学習の一環として、ぜひお子さんと足を運んでみてください。

参照:旧海軍司令部壕

行事・イベントに参加する

沖縄では、慰霊の日にちなんだイベントが多数開催されています。そのため、家族でイベントに参加して、戦争や慰霊の日について考えてみるのもおすすめです。
イベントに参加する際も、あまりに深刻な雰囲気にならないよう、大人が気を配ることが大切です。「怖い」という気持ちだけが先行してしまって大切なことが伝わっていない、ということになる可能性もあることを念頭に置いておきましょう。

なお、イベント情報はあんまーるのInstagramでもご紹介しています。こちらもぜひご覧ください。

沖縄全戦没者追悼式

沖縄全戦没者追悼式は、沖縄戦の戦没者を追悼すると同時に、平和への祈りを捧げる行事です。今年は4年ぶりに一般参列者も会場への入場が可能になったため、家族で焼香に参加できます。
慰霊の日は学校もお休み。平和祈念公園へ足を運び、平和へ想いを馳せてみてはいかがでしょうか。

イベント名沖縄全戦没者追悼式
場所平和祈念公園
〒901-0333 沖縄県糸満市摩文仁444(MAP
日時【日程】2023年6月23日(金)
【時間】​​11:50〜12:40
料金無料
駐車場なし
(※県庁発の無料シャトルバスか公共交通機関をご利用ください)

慰霊の日 親子コンサート 〜うたで繋げる未来の沖縄 2023〜

慰霊の日親子コンサート 〜うたで繋げる未来の沖縄 2023〜は、歌って踊って楽しみながら平和の尊さを体感できるイベントです。慰霊の日というと、どことなく静かに一日を過ごさないといけないというイメージがあるかもしれませんが、このイベントでは自由にあたたかい気持ちで平和を祈ることができます。お子さんが音楽好きであれば、ぜひ参加してみてくださいね。

イベント名慰霊の日 親子コンサート 〜うたで繋げる未来の沖縄 2023〜
場所大名児童館 遊戯室
〒903-0802 沖縄県那覇市首里大名町2丁目75(MAP
日時【日程】2023年6月23日(金)
【時間】​​15:00〜16:30
料金【一般】1,000円
【高校生以下】無料
(※入場券は限定80枚。入場するには整理券が必要です)
駐車場あり

恩納村の戦争

恩納村の戦争は、恩納村に残る戦争遺跡をはじめ、文化財資料、戦争体験に関する資料などを紹介する展示イベントです。観覧料は無料なので、どなたでも気軽に見学することができます。
恩納村が地元の方はもちろん、そうじゃない方も、資料を目で見て読んで戦争の悲惨さを感じてみてはいかがでしょうか。

イベント名恩納村の戦争
場所恩納村博物館 2階 展示ホール・企画展示室
〒904-0415 沖縄県国頭郡恩納村仲泊1656-8(MAP
日時【日程】2023年5月30日(火)~7月2日(日)
【時間】​​9:00〜17:00
料金無料
駐車場あり

平和のメッセージ / 絵本のとびら~いのち・へいわ・えがお~

沖縄こどもの国では、慰霊の日に特別プログラムとして「平和のメッセージ」と「絵本のとびら~いのち・へいわ・えがお~」が開催されます。
平和のメッセージは、戦争と平和について考える絵本の朗読後、正午に黙祷をささげるイベントです。絵本のとびら~いのち・へいわ・えがお~は、絵本の読み聞かせを通して平和を願うイベントです。どちらも絵本で平和の尊さを学べるので、小さなお子さんがいるご家庭におすすめですよ。

イベント名平和のメッセージ / 絵本のとびら~いのち・へいわ・えがお~
場所沖縄こどもの国
〒904-0021 沖縄県沖縄市胡屋5丁目7-1(MAP
日時【日程】2023年6月23日(金)
【時間】​​平和のメッセージ:11:50~12:05
    絵本のとびら~いのち・へいわ・えがお~:13:00~13:40
料金無料
駐車場あり

未来を考える絵本たち

未来を考える絵本たちは、命や戦争、平和をテーマにした絵本の展示イベントです。会場が開館している間は絵本を自由に読むことができるため、子どもたちと平和について深く考えることができます。
慰霊の日を過ぎてもしばらく開催されるため、「平日に行くのは難しい……」というご家庭にもおすすめです。ぜひ足を運んでみてくださいね。

イベント名未来を考える絵本たち
場所沖縄こどもの国
〒904-0021 沖縄県沖縄市胡屋5丁目7-1(MAP
日時【日程】2023年6月10日(土)~7月2日(日)
【時間】​​9:30〜17:30
料金無料
駐車場あり

子どもと一緒に「平和」について考えよう

慰霊の日

慰霊の日は、沖縄戦の戦没者の霊を慰め、世界の平和を祈る日です。これを子どもに伝えるのはなかなか難しいかもしれませんが、年齢にあわせて伝え方を工夫したり戦争について考える機会を提供したりすれば、一緒に平和について考えることができます。

大切なのは、未来を生きる子どもたちに「なぜ平和であることが大切なのか」「自分たちの先祖が何に立ち向かってくれたのか」「幸せとはなにか」などを考えてもらうきっかけをつくることです。「戦争=怖い」「戦い=だめ」を押し付けるような伝え方になってしまうと、伝えたいことの本質が届かず、それ以外の「怖い」という恐怖感だけが残ってしまいかねません。

ぜひ今年は、6月23日の慰霊の日をきっかけに、戦争の恐ろしさやご先祖さまの苦悩、今ある幸せについてなど、子どもたちにもぜひ意見を求めてみてください。
返ってきた答えに対して否定をしたり考え方を押し付けるような返事をしないよう注意しつつ、子どもたちの未来が少しでも明るいものになるよう、みなさんも、わたしたち編集部と共に祈りを捧げる日にしてみませんか。

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ゆーりんちー

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