資格取得・就職のサポートに「ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業」を利用しよう

ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業

沖縄県母子寡婦福祉連合会が実施している「ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業」をご存じでしょうか? 自立に向けて資格取得を目指すひとり親家庭のママ・パパには、ぜひチェックしておいていただきたい制度のひとつです。

今回は、ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業について詳しく解説します。資格取得を目指している方や自立に向けて動きたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

ひとり親家庭の就労に関する現状

現在、子どもの貧困が問題視されており、なかでもひとり親家庭の半数が貧困世帯といわれています。ひとり親家庭の生活が不安定な理由は、賃金の低い非正規雇用が多いからでしょう。
とくに母子家庭は非正規雇用が多く賃金が低いため、生活が逼迫(ひっぱく)しやすい状況にあります。

以下は、令和3年度に行われた厚生労働省の調査結果をもとに、母子家庭・父子家庭の雇用状況を表形式にしたものです。

母子家庭父子家庭
正規雇用86.3%88.1%
アルバイト・パート38.8%4.9%
自営業5%14.8%

この結果をみると、父子家庭よりも母子家庭のほうが正規雇用の割合がやや低く、アルバイト・パートとして働いている方が多いことがわかります。
また、平均就労年収は母子家庭で236万円、父子家庭で496万円となっており、父子家庭よりも母子家庭のほうが収入が少ない傾向にあることがわかります。

ただし、これはあくまでも厚生労働省が全国的に行った調査の結果であり、沖縄県はさらに非正規雇用のひとり親が多いのではないでしょうか。
手に職をつけて安定した生活を手に入れ、子どもに進学・就職の夢を諦めさせないためにも、ぜひ今回ご紹介する「高等職業訓練促進給付金」および「ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業」の利用を検討してみましょう。

手に職をつけたいひとり親家庭に利用してほしい「高等職業訓練促進給付金」とは?

ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業を利用するためには、高等職業訓練促進給付金を利用している必要があります。そこでまずは「高等職業訓練促進給付金」についてご紹介します。

高等職業訓練促進給付金とは、ひとり親の方が資格取得を目指して修業する期間の生活費を支援する制度です。

対象者・児童扶養手当を受給している、または所得水準が同等の方
・資格取得のために1年以上養成機関で修業し、資格取得が見込める方
対象となる資格看護師・保育士・介護福祉士・社会福祉士・理学療法士・作業療法士・歯科衛生士・美容師、製菓衛生師・調理師など

※対象となる資格は市町村によって異なるため、取得を検討している資格が給付金受給の対象になるかどうかは、お住まいの地域の社会福祉事務所、または市町村役場の担当窓口へお問い合わせください。
支給額【高等職業訓練促進給付金】
・市町村民税非課税世帯 月額100,000円(養成課程修了までの最後の12月は140,000円)
・市町村民税課税世帯 月額70,500円(養成課程修了までの最後の12月は月額10,500円)

【修了支援金】
・市町村民税非課税世帯 50,000円
・市町村民税課税世帯 25,000円
申請に必要な書類・申請書
・戸籍謄本または抄本(申請者本人と子どもの分)
・住民票謄本の写し(別世帯と同居している場合は全世帯分)
・児童扶養手当証書の写し
・所得、課税証明書(同居している人の全員分)
・入校証明書

高等職業訓練促進給付金は、要件を満たしていれば申請可能です。
ただし、給付金を受給できる人数には限りがあるため、申請したからといって必ずしも受給できるものではありません。過去に高等職業訓練促進給付金を受給したことがある方、職業訓練受講給付金などを受給したことがある方は支給対象外となります。

なお、高等職業訓練促進給付金の申請は沖縄県母子寡婦福祉連合会では受け付けていないため、お住まいの地域の社会福祉事務所、または市町村役場の担当窓口へお問い合わせください。

参考:高等職業訓練促進給付金等事業|沖縄県

高等職業訓練促進給付金の利用者をさらにサポートする「ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業」とは?

ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業

ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業とは、高等職業訓練促進給付金の支給を受けながら資格取得を目指すひとり親家庭の親に対して、入学準備金および就職準備金を貸し付ける制度です。

入学準備金

貸付対象高等職業訓練促進給付金の支給対象となったひとり親家庭の親
貸付額上限50万円
利子無利子 ※原則として連帯保証人が1名必要

【連帯保証人の条件】
・ある程度の収入があり生活が安定している方
・世帯が別(住民票に記載の住所が別)の方
申請タイミング入学が決まってから(入学年度の受け付け)
返済免除条件卒業後1年以内に資格を活かして沖縄県内で就職し、5年間従事したら貸付金の返還が免除される

入学準備金を受給したあと、途中で退学になったり資格が取得できなかったりした場合は返還しなければいけないためご注意ください。

就職準備金

貸付対象高等職業訓練促進給付金の支給を受けて、就職準備金の申請時点で児童扶養手当を受給しているひとり親家庭の親
貸付額上限20万円
利子無利子 ※原則として連帯保証人が1名必要

【連帯保証人の条件】
・ある程度の収入があり生活が安定している方
・世帯が別(住民票に記載の住所が別)の方
申請タイミング就職先が決まってから(資格取得後1年以内)
返済免除条件卒業後1年以内に資格を活かして沖縄県内で就職し、5年間従事したら貸付金の返還が免除される

就職準備金の用途としては、保育士資格を取得した方ならエプロンやジャージ、就職先が遠い場合は引越し費用や車の購入費に充てても問題ありません。
しかし用途を提出する必要があるため、ある程度どんなことに使ったのかを提示できるよう明細書またはレシートなどを残しておきましょう(ぴったり20万円分でなくても構いません)。

なお、那覇市を含む沖縄県全域のひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業の申請は、沖縄県母子寡婦福祉連合会で受け付けています。

ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業の利用方法

ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業

ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業申の申請のタイミングとしては、入学準備金は「入学が決まり在学証明書が届いてから」、就職準備金は「就職先が決まり労働条件通知書が届いてから」となります。
申請したらすぐに貸付金が交付されるわけではなく、申請書類の提出から貸付金交付までには約2か月かかるためご注意ください。

1.電話予約のうえで面談

2.申請書類の提出

3.審査

4.貸付可否の通知

5.契約書類提出

6.貸付金交付

なお、申請には以下の書類が必要です。

入学準備金・高等職業訓練促進資金貸付申請書
・住民票謄本
・申請者と連帯保証人の所得証明書
・そのほか、必要と認めた書類
・在学証明書
・高等職業訓練促進給付金決定通知
就職準備金・高等職業訓練促進資金貸付申請書
・住民票謄本
・申請者と連帯保証人の所得証明書
・そのほか、必要と認めた書類
・卒業証明書
・資格証明書
・労働条件通知書
・児童扶養手当受給者証

ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業を利用する際の注意点

ひとり親家庭のママ・パパが、資格を取得して就職する際に利用できるひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業。非常に便利な制度ではありますが、利用時には以下の点に注意しましょう。

貸付までは自分でお金を支払う必要がある

入学準備金は「入学が決まり在学証明書が届いてから」、就職準備金は「就職先が決まり労働条件通知書が届いてから」の申請となります。
つまり、どちらも申請前(受給前)に入学金や就職準備費用が必要になった場合は、一度自分で支払う必要があるのです。

申請から貸付までに約2か月の時間がかかるため、それを見越した資金計画を立てておく必要があります。

入学準備金は受給できても就職準備金は受給できないことがある?

ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業は、高等職業訓練促進給付金の支給対象となったひとり親家庭のママ・パパなら基本的に利用可能です。

しかし、入学準備金の段階では給付金の要件を満たしていて受給できたものの、訓練校へ通っている間に子どもが18歳の誕生日を迎えた場合は、児童扶養手当の受給要件から外れてしまうため就職準備金の支給が対象外となることがあります。

ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業

返還免除の条件を満たしていないと返還しなければいけない

ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業で受給したお金は、「卒業後1年以内に資格を活かして沖縄県内で就職し、5年間従事すること」という条件を満たせば返還が免除されます。
「5年間」というのは通算5年ならよいので、一度休職しても通算5年間働くことで免除が適用されます。

たとえば、資格を取得したあと一度は就職して2年間働いたものの、ほかの資格を取得するためにハローワークなどで紹介してもらえる職業訓練校に通うために半年間休職し、再び職場復帰を果たして3年間働いた場合は返還免除となります。

ただし、原則として休職期間は最長1年となっていて、休職していた証明が必要となります。
また、訓練校を退学したり、卒業はしたけれど資格が取れなかったりした場合も返還義務が発生するため、ご注意ください。

ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業

連帯保証人がいない場合は有利子になる

ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業の申請を行う際は、原則として1名の連帯保証人が必要です。しかし、何らかの理由で「親族を頼ることができない」「連帯保証人になってくれる人がいない」という場合もあるでしょう。その際は、有利子で利用することができます。

有利子の場合も条件を満たせば返還免除されますが、もし返還することになった場合は年1%の利子が発生する点に注意しましょう。

高等職業訓練促進給付金・ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業で自立を目指そう!

ひとり親家庭のママ・パパの資格取得や就職をサポートする「高等職業訓練促進給付金」や「ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業」について、知らなかったという方もいるのではないでしょうか? 手に職をつけて安定した生活を手に入れたいと考えているひとり親家庭のママ・パパは、ぜひ利用を検討してみてくださいね。

もし職業訓練校などに通ううえで子どもの面倒を見てくれる人がいない場合は、「ファミリー・サポート・センター」や「ひとり親家庭等日常生活支援事業」を利用することもできます! ぜひあわせてご確認ください。

 


あんまーるでは、沖縄で子育てをしているママとパパの声を大切にしています。

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さえこ

小学生の娘を持つ母😀
休日は娘と美味しいもの🍴を食べに出かけるのが大好きです💕
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